まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

2022年に書いた記事を振り返る

目次

はじめに

 今回は2022年の一年間にこのブログで書いた記事を振り返ってみたいと思います。

 今年はあんまり研究が進んだという実感はないのですが、なんと80本の記事を出していました。「塵も積もれば山となる」の諺通り、これだけの量となると、一応仕事の傍らとはいえ、自信を持って研究していたと言えるのではないでしょうか。

2022年に書いた記事まとめ(全80本)

1月(ヘーゲル世界史、バウムガルテン美学、読書前ノート)

 1月はヘーゲル『法の哲学』の「世界史」に取り組んでおりました。ちょうどこの頃、『岩波講座 世界歴史』(岩波書店)が刊行開始されたところでした。

 仕事が忙しく書けなくなっていたところ、「読まなくてもとりあえず書けばいい」という逆転の発想で「読書前ノート」という企画を開始しています。

  1. ヘーゲル『法の哲学』における「世界史」の位置付け

  2. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「世界史」篇(1)

  3. バウムガルテン『美学』覚書(1)

  4. 承認のリーダーシップと言葉の生命力

  5. ヘーゲル『精神現象学』読書会予習(1)

  6. 読書前ノート(1)

  7. 読書前ノート(2)

2月(読書前ノート、ヘーゲル抽象法)

 2月はほとんど読書前ノートですが、ヘーゲル『法の哲学』の「抽象法」にも少し取り組みました。

  1. 読書前ノート(3)

    • 前田鎌利『課長2.0 リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法』(ダイヤモンド社、2021年)

  2. 読書前ノート(4)

    • 蛯谷敏『レゴ——競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』(ダイヤモンド社、2021年)

  3. 読書前ノート(5)

    • イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』(金子洋之・大西琢朗訳、森北出版、2017年)

  4. 読書前ノート(6)

    • 佐藤直樹『基礎から身につく「大人の教養」 東京藝大で教わる西洋美術の見かた』(世界文化社、2021年)
    • カート・セリグマン『魔法 その歴史と正体』(平田寛・澤井繁男訳、平凡社、2021年)
  5. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「抽象法」篇(1)

3月(数学、読書前ノート、ヘーゲル世界史)

 3月は「〈哲学〉と〈数学〉の関係」に関心を持っていました。その為、数学史の文献を本屋で探したりしておりました。

  1. 〈哲学〉と〈数学〉の関係を考える
  2. デカルトにとっての〈数学〉:『方法序説』を中心に

  3. 読書前ノート(7)

  4. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「世界史」篇(2)

  5. 県外引っ越し

4月(執筆なし)

 3月末に引っ越しをしており、4月は勤務地が異動になった為、新たな環境に適応するのに精一杯で、家にも帰れずホテル暮らしで何も書く余裕がありませんでした。

5月(フォイエルバッハ『将来の哲学の根本命題』)

 5月は引っ越し関連で購入したものと、フォイエルバッハ『将来の哲学の根本命題』について書いています。僕が本当に考えたいのは、フォイエルバッハが「男性原理」と「女性原理」と二元論的に表現したところの意義です。女性学と男性学の発展が著しい現代からみて、フォイエルバッハのいう「将来」もまた時代の制約による限界をもっていたという点を明らかにしたいと考えています。が、このペースで取り組むと10年ぐらいかかるかもしれません。私がいた神奈川大学図書館の書庫にはフォイエルバッハ全集があり、『キリスト教の本質』なんかを学部生の時に貪るように読んだ記憶があります。そのうち『神統記』や『ピエール・ベール』なんかも取り上げたいです。

  1. 有機ELテレビを買いました

  2. インシュレーターを買いました

  3. フォイエルバッハ『将来の哲学の根本命題』覚書(1)

  4. フォイエルバッハ『将来の哲学の根本命題』覚書(2)

  5. フォイエルバッハ『将来の哲学の根本命題』覚書(3)

6月(社会契約論、共産党宣言、読書前ノート)

 6月には初めて私は『共産党宣言』について書きました。私は的場昭弘先生のゼミ出身者であり、『共産党宣言』について書くなどということは、おいそれと簡単にはできませんでした。何より的場先生は私が学部生のときに『新訳 共産党宣言』を出されており、一応の文献をみておかねば迂闊なことは書けませんでした。が、ついに書いてしまいました。

  1. ルソー『社会契約論』(10)

  2. 読書前ノート(8)

    • バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論——仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』(技術評論社、2022年)
  3. 『共産党宣言』覚書(1)

  4. 読書前ノート(9)

  5. 『共産党宣言』覚書(2)

7月(共産党宣言自民党改憲草案、ヘーゲル家族)

 7月には安倍晋三氏殺害事件を受け、自民党改憲草案」批判を書きました。

 ヘーゲル『法の哲学』の「家族」論について少し書き進めました。

  1. 『共産党宣言』覚書(3)

  2. ヘーゲル『精神現象学』読書会予習(2)

  3. 『共産党宣言』覚書(4)

  4. 憲法改正・統一教会・民主主義

  5. 自民党「日本国憲法改正草案」批判(1)

  6. 自民党「日本国憲法改正草案」批判(2)

  7. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(1)

  8. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(2)

  9. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(3)

8月(マルクス資本論、読書前ノート、ヘーゲル家族論)

 8月はマルクス資本論』研究に再び着手しています。

 あと小松原織香『当事者は嘘をつく』の書評を書いています。のちに読者の方に感想をいただきました。

  1. 自民党「日本国憲法改正草案」批判(3)

  2. マルクス『資本論』覚書(19)

  3. マルクス『資本論』覚書(20)

  4. 読書前ノート(10)

  5. 不条理な制度には不服従を示そう

  6. マルクス『資本論』覚書(21)

  7. マルクス『資本論』覚書(22)

  8. 読書前ノート(11)

    • 小松原織香『当事者は嘘をつく』(筑摩書房、2022年)
  9. ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(4)

9月(ヘーゲル『エンツュクロペディー』、ベンヤミン『暴力批判論』、ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』)

 9月にはヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』に取り組みました。私がヴィトゲンシュタインについて書いているということが、私にとって驚きであります。専門分野でない私がヴィトゲンシュタインについて書くというのは、なんとなく他人の畑にずかずかと入っていくような感じですよね。

  1. ヘーゲル『エンツュクロペディー』覚書:「動物有機体」篇(1)

  2. ベンヤミン「暴力批判論」覚書(1)

  3. ヘーゲル『エンツュクロペディー』覚書:「動物有機体」篇(2)

  4. ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』覚書(1)

  5. ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』覚書(2)

  6. 『梨泰院クラス』所感

10月(デリダ『弔鐘』)

 10月にはジャック・デリダ『弔鐘』に取り組みました。そもそも私が『弔鐘』という訳の分からない著作について書くということ自体が、私にとって驚きです。ただ、もともと興味はあったので、いつかは取り組むことになったでしょう。

  1. 「「当事者は嘘をつく」の書評への感想」へのリプライ

  2. 「「当事者は嘘をつく」の書評への感想」へのリプライ(2)

  3. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(1)

  4. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(2)

  5. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(3)

  6. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(4)

  7. Netflixが没落する日

  8. 読書前ノート(12)

11月(ヘーゲルと医学、フーコー社会医学の誕生」)

 11月はヘーゲルと医学、そしてフーコー社会医学の誕生」を読んでいます。この頃から何か私の趣向が変わっているような気がします。

  1. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(5)

  2. ジャック・デリダ「署名 出来事 コンテクスト」覚書(1)

  3. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(6)

  4. パワハラ対策としてのアジール

  5. ヘーゲルと医学——解剖学・有機体・病理学(1)

  6. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(7)

  7. フーコー「社会医学の誕生」覚書(1)

  8. 陰謀論と免疫応答

  9. フーコー「社会医学の誕生」覚書(2)

12月(ジョン・ロックフィリップ・アリエス、Hobbes)

 12月はまだ今月のことなので、客観的に書くことが難しいですが、ジョン・ロックに取り組もうと思い立ちました。英語でホッブズについて書いてますね。

  1. ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(8)

  2. ジョン・ロック『統治二論』覚書(1)

  3. 日曜歴史家フィリップ・アリエスと〈精神性の歴史〉

  4. フーコー「社会医学の誕生」覚書(3)

  5. ヘーゲルと医学——解剖学・有機体・病理学(2)

  6. Reading Hobbes “Leviathan”. No.1.

  7. Reading Hobbes “Leviathan”. No.2.

  8. 日銀「イールドカーブ・コントロールの運用の見直し」

  9. 読書前ノート(13)

  10. 読書前ノート(14)

  11. 『リコリス・リコイル』から組織内の不条理な処分について考える

  12. 「産婆術」というレトリックに対する疑念

おわりに

 仕事で忙しい中で、自分なりに大いに挑戦した一年でありました。特にマルクス共産党宣言』、ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』、ジャック・デリダ『弔鐘』の三冊に取り組んだことは自分で自分を高く評価したいです。

 お読みいただいた皆様本当にありがとうございました。拙い文章ばかりですが、また来年もどうぞよろしくお願いいたします。