まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

研究ノート

『源氏物語』覚書(2)

目次 『源氏物語』(承前) 桐壺(承前) 文献 sakiya1989.hatenablog.com 『源氏物語』(承前) 桐壺(承前) (『校異源氏物語』巻一、5頁) ……はじめより、我は、と思い上がりたまへる御方、めざましき物におとしめそねみ給ふ。同じ程、それよりげらふの…

『源氏物語』覚書(1)

目次 はじめに 『源氏物語』 桐壺 単語 いづれの御時にか 文献 はじめに 『源氏物語』といえば、知らない者はいないといっても過言ではないほど有名な古典文学作品である。にもかかわらず、恥を忍んでいうと、筆者はこれまで中学や高校で『源氏物語』を読ん…

マルクス『資本論』覚書(23)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 「ある物」の分析 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 「ある物」の分析 (1)ドイツ語初版 ある物は,〈交換価値〉でなくとも,〈…

ライプニッツ『モナドロジー』覚書(6)

目次 ライプニッツ『モナドロジー』(承前) モナドにおいてその生成と消滅のプロセスはあり得るか 文献 sakiya1989.hatenablog.com ライプニッツ『モナドロジー』(承前) モナドにおいてその生成と消滅のプロセスはあり得るか ライプニッツはいう。 (1)…

ライプニッツ『モナドロジー』覚書(5)

目次 ライプニッツ『モナドロジー』(承前) ライプニッツとスピノザ 微細な変化、一と多 文献 sakiya1989.hatenablog.com ライプニッツ『モナドロジー』(承前) ライプニッツとスピノザ (1)エルトマン版(1839年) (2)ゲルハルト版(1885年) しかも…

ヴィーコ『新しい学の諸原理〔1725年版〕』覚書(1)

目次 はじめに ヴィーコ『新しい学の諸原理〔1725年版〕』 著作の観念 単語 文献 はじめに 以下ではヴィーコ『新しい学の諸原理〔1725年版〕』(上村忠男訳、京都大学学術出版会、2018年)を読む。 本書を取り上げる意義は、まさにヴィーコ『新しい学』の〈…

アリストテレス『政治学』覚書(5)

目次 アリストテレス『政治学』(承前) 男性と女性、主人と奴隷における自然と必然 文献 sakiya1989.hatenablog.com アリストテレス『政治学』(承前) 男性と女性、主人と奴隷における自然と必然 まず、互いに相手を必要とし、相手なしでは生きられない者…

アリストテレス『政治学』覚書(4)

目次 アリストテレス『政治学』(承前) アリストテレスの発生論的アプローチ 単語 文献 sakiya1989.hatenablog.com アリストテレス『政治学』(承前) アリストテレスの発生論的アプローチ そこで、いま私たちが研究対象にしている[共同体という]事物につ…

アリストテレス『政治学』覚書(3)

目次 アリストテレス『政治学』(承前) アリストテレスの分析的探究方法 文献 sakiya1989.hatenablog.com アリストテレス『政治学』(承前) アリストテレスの分析的探究方法 いま述べたことは、これまで私たちを導いてきた探究方法に従って考察すれば明確…

アリストテレス『政治学』覚書(2)

目次 アリストテレス『政治学』(承前) 共同体の人数規模に応じて共同体の性質は異なる 文献 sakiya1989.hatenablog.com アリストテレス『政治学』(承前) 共同体の人数規模に応じて共同体の性質は異なる したがって、共同体(共同関係)ならばみな同じは…

アリストテレス『政治学』覚書(1)

目次 はじめに アリストテレス『政治学』 共同体の目的と国家共同体について 単語 ラテン語訳 文献 はじめに 今日、我々にとって、アリストテレス『政治学』(Ἀριστοτέλης, Τα Πολιτικά)は何を残すか。 本書は政治哲学および国家学の古典と言われる。従来、…

ヘーゲル『精神現象学』覚書(12)

目次 ヘーゲル『精神現象学』(承前) 序文(承前) 教養形成の始まり 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『精神現象学』(承前) 序文(承前) 教養形成の始まり 自己を形成し教養を身につけ(ビルドゥング)、実体的生命の直接態から抜け出す(ヘラ…

ヘーゲルと仏教

はじめに あらかじめ断っておくが、ここで「ヘーゲルと仏教」について何かが明らかになるということではない。ここでは筆者自身が『「ヘーゲルと仏教」というテーマ設定もアリだな』と思えるようになったということを、ただ単に書き留めておくに過ぎない。 …

ヘーゲル『美学講義』覚書(1)

はじめに 本稿ではヘーゲル『美学講義』(Vorlesungen über die Aesthetik)を取り扱う。 ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)はその代表作『弔鐘』の中でヘーゲル『美学講義』の一節を参照している。筆者もまたデリダ『弔鐘』を解釈している最…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(11)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) 【左】ヘーゲル欄 インドの男根柱 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) 【左】ヘーゲル欄 インドの男根柱 Deuxième passage: la colonee phallique de l'Inde. L'Esthetique en décrit …

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(10)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) 【左】ヘーゲル欄 花の宗教 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) 【左】ヘーゲル欄 花の宗教 Premier passage : la religion des fleurs. Dans la Phénoménologie de l'esprit, le déve…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(9)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 遊び戯れる二つの特殊な事例 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 遊び戯れる二つの特殊な事例 Deux passages très déterminés, partiels, particul…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(6)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第三部「人倫」第一章「家族」(承前) 「自然的衝動」よりも優位に立つ「精神的な絆」 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第三部「人倫」第一章「家族」(承前) 「自然的衝動」よりも優位に…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「家族」篇(5)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第三部「人倫」第一章「家族」(承前) 婚姻の出発点 婚姻における自己制限と解放 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第三部「人倫」第一章「家族」(承前) 婚姻の出発点 第162節 婚姻の主観…

カント『純粋理性批判』覚書(2)

目次 カント『純粋理性批判』(覚書) なぜカントは『純粋理性批判』第二版のエピグラフにベーコンからの引用を載せたのか 文献 sakiya1989.hatenablog.com カント『純粋理性批判』(覚書) なぜカントは『純粋理性批判』第二版のエピグラフにベーコンからの…

ヘーゲルと医学——解剖学・有機体・病理学(2)

目次 ヘーゲルの「病気」概念:孤立と自立 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲルの「病気」概念:孤立と自立 本稿では、ヘーゲルがいわゆる『法哲学』で政治社会を有機体に擬えて論じた次のパラグラフについて考察してみたい。少し長くなるが前後の文脈…

ジョン・ロック『統治二論』覚書(1)

目次 はじめに 文献 はじめに 本稿ではジョン・ロック『統治二論』(John Locke, Two Treatises of Governmen, 1690)の読解を試みる。 彼の著作に関しては、私はさほど興味を持ってこなかったものの、あることがきっかけで突然読んでみたくなった。きっかけ…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(8)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 〈伝説〉としてのヘーゲル家族論 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 〈伝説〉としてのヘーゲル家族論 Ceci est ‒‒ une légende. Non pas une fabl…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(7)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 ヘーゲルの署名と〈絶対知〉のコルプス 「残余の思考」と「思考するための残余」 (右)ジュネ欄 交差=一致する、残余の二つの機能 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承…

ヘーゲルと医学——解剖学・有機体・病理学(1)

目次 はじめに ヘーゲルと医学 ヘーゲルと解剖学 ホッブズと解剖生理学 文献 「自分自身が医者であり、しかも、きわめて思索的な医者でもあるケネー氏は、政治体についても同じ種類の理解を心に思い浮かべ、それは、一定の厳密な養生法——完全な自由と完全な…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(6)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 教育と署名との両立不可能性 (右)ジュネ欄 残余としての僅かなもの 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 教育と署名との両立不可能性 On ne sait …

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(5)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 略号とコード 「無原罪懐胎」の恣意性 速記法のアンビバレントな両側面 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 略号とコード Sa sera désormais le si…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(4)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 〈絶対知〉とそのテクスト (右)ジュネ欄 〈残ったもの〉という計算不可能なものの計算可能性 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 〈絶対知〉とそ…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(3)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 「鷲(エグル)」に擬せられるヘーゲル (右)ジュネ欄 包摂関係にある不均等な二つの欄 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 「鷲(エグル)」に擬…

ジャック・デリダ『弔鐘』覚書(2)

目次 ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 デリダの問い (右)ジュネ欄 〈残余〉とは何か 文献 sakiya1989.hatenablog.com ジャック・デリダ『弔鐘』(承前) (左)ヘーゲル欄 デリダの問い Qui, lui? 誰か、彼とは? (Derrida1974: 7,鵜…