まだ先行研究で消耗してるの?

全然ロジカルじゃない(!)書きたいことをひたすら書くブログです。ノンロジカルエッセイ。

研究ノート

ヘーゲル『精神現象学』覚書(2)

目次 「序文」 「哲学的な著作」における「序文」の意義 文献 sakiya1989.hatenablog.com 「序文」 よく言われることだが、『精神現象学』には「序文 Vorrede 」と「序論 Einleitung 」がある。「序文」も「序論」もほとんど似たような言葉だが、「序文 Vorr…

ヘーゲル『精神現象学』覚書(1)

目次 はじめに 『精神現象学』というタイトルについて 文献 はじめに このシリーズではヘーゲル『精神現象学』(熊野純彦訳、筑摩書房、2018年)を読む。 私が『精神現象学』を読み始めたのは、およそ十年前に遡ることができる。もともとヘーゲルその人に関…

グレーバー『ブルシット・ジョブ』覚書(1)

目次 はじめに 本書の構成 文献 はじめに 今回は、ようやく日本で邦訳が発売されたばかりのデヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』(岩波書店、2020年)を取り上げたい。 購入デヴィッド・グレーバー 2020『ブルシット・ジョブ』酒井隆史ほか訳、岩波…

ヴィーコ『新しい学』覚書(15)

目次 (承前)著作の観念 〈新しい学〉における〈権威の哲学〉の側面 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 〈新しい学〉における〈権威の哲学〉の側面 続きを読みます。 そうであるから、このいまひとつの主要な面からすれば、この学は権威の…

ヴィーコ『新しい学』覚書(14)

目次 (承前)著作の観念 「質料」と「形式」 「幾何学」と〈製作者〉の思想 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 「質料」と「形式」 続きを読みます。 そしてそこに諸国民すべての歴史が時間の中を経過するさいの根底に存在している永遠の…

ヴィーコのクリティカとトピカ

目次 幾何学学習の効用——記憶力・想像力・構想力 クリティカ優先の弊害 トピカからクリティカへ 文献 sakiya1989.hatenablog.com 前回はヴィーコの「新しい批判術」が登場しました。そこで今回は、ヴィーコ『自伝』においてクリティカとトピカがどのように論…

ヴィーコ『新しい学』覚書(13)

目次 (承前)著作の観念 「新しい批判術」 ヴィーコとマルクス 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 「新しい批判術」 続いてヴィーコは「新しい批判術」という自身の方法について述べています。 さらに、ここで触れておくなら、この著作で…

ヴィーコ『新しい学』覚書(12)

目次 (承前)著作の観念 真のホメロスの発見とウァッロの三時代区分 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 真のホメロスの発見とウァッロの三時代区分 続きを読みます。 また、ホメロスの像がひび割れた台座の上に立っているのは、真のホメロ…

ヴィーコ『新しい学』覚書(11)

目次 (承前)著作の観念 口絵の光線と『新しい学』の叙述の順序 観念の原理と言語の原理 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 口絵の光線と『新しい学』の叙述の順序 次のパラグラフに移ります。口絵の左下の男性は「ホメロスの像」だとヴィ…

サイード『オリエンタリズム』覚書(6)

目次 (承前)序説(二) 〈オリエント〉の「オリエント化」におけるヘゲモニー関係 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)序説(二) 〈オリエント〉の「オリエント化」におけるヘゲモニー関係 前回このパラグラフに登場する「ヘゲモニー」概念を取り上…

サイード『オリエンタリズム』覚書(5)

目次 (承前)序説(二) サイードの〈オリエント〉とグラムシの「ヘゲモニー」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)序説(二) サイードの〈オリエント〉とグラムシの「ヘゲモニー」 サイードが示す〈オリエント〉理解のための第二の留保条件は次のよ…

ヴィーコ『新しい学』覚書(10)

目次 (承前)著作の観念 ゼノンの運命論(宿命論)とエピクロスの原子論 〈私的なもの〉の表現としての「平面」と〈公的なもの〉の表現としての「凸面」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 ゼノンの運命論(宿命論)とエピクロスの原子論 …

ヴィーコ『新しい学』覚書(9)

目次 (承前)著作の観念 祭壇と天 ヘラクレスの「火」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 祭壇と天 続けてヴィーコは、どうして祭壇が地球儀の下にあるのかの理由を説明しています。 祭壇が地球儀の下にあってこれを支えていることについ…

ヴィーコ『新しい学』覚書(8)

目次 (承前)著作の観念 農耕の神サトゥルヌス(Saturnus) 「観念の一様性」と「共通感覚」 農耕の神クロノス(Κρόνος)と時間の神クロノス(Χρόνος) 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 農耕の神サトゥルヌス(Saturnus) 続きを読みま…

ヴィーコ『新しい学』覚書(7)

目次 (承前)著作の観念 「オリンピアード」と「時間の起源」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 「オリンピアード」と「時間の起源」 ヴィーコは続けて古代ギリシアにおける「時間の起源」について述べています。 また、それはさらには時…

アドルノ『音楽社会学序説』覚書(1)

目次 はじめに 『音楽社会学序説』 文献 はじめに このシリーズではアドルノ『音楽社会学序説』(平凡社ライブラリー)を読みます。音楽思想史の一環として。 『音楽社会学序説』 そもそも『音楽社会学序説』(Einleitung in die Musiksoziologie)というタ…

ルソー『社会契約論』覚書(8)

目次 (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について グロチウスの事実に基づく推理の仕方 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について グロチウスの事実に基づく推理の仕方 グロチウスは、あらゆる人間の権力が…

ルソー『社会契約論』覚書(7)

目次 (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について 家族とのアナロジーにおける政治社会 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について 家族とのアナロジーにおける政治社会 次のパラグラフを読む。 だから、家族…

ルソー『社会契約論』覚書(6)

目次 (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について 家族から独立して「自己保存」を可能とする「理性」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一編 (承前)第二章 最初の社会について 家族から独立して「自己保存」を可能とする「理性」 前回は…

ルソー『社会契約論』覚書(5)

目次 (承前)第一編 第二章 最初の社会について ルソーの家族論 〈家族-1〉における〈母親〉の欠如 〈家族-2〉における「約束」の契機 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一編 第二章 最初の社会について ルソーの家族論 ルソーは最初の社会は「家…

ルソー『社会契約論』覚書(4)

目次 (承前)第一編 第一章 第一編の主題 二つの喩え、二つの問い 「取り決め」に基づく「社会秩序」とその「権利」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一編 第一章 第一編の主題 二つの喩え、二つの問い 第一章はルソーらしい美文によって表現され…

ヴィーコ『新しい学』覚書(6)

目次 (承前)著作の観念 ヘラクレスとネメアの獅子 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 ヘラクレスとネメアの獅子 次のパラグラフに移ります。 地球儀を取り巻いている黄道帯の中で、獅子と処女の二宮だけが、他の宮以上に堂々と、あるいは…

ヴィーコ『新しい学』覚書(5)

目次 (承前)著作の観念 アリストテレス政治学とヴィーコの国家神学 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 アリストテレス政治学とヴィーコの国家神学 続きを読んでみましょう。 しかし、この部分にたいしても神は摂理を立てて〔先を見通して…

ヴィーコ『新しい学』覚書(4)

目次 (承前)著作の観念 神を観照する仕方について 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)著作の観念 神を観照する仕方について ヴィーコは続けて「神」について言及しています。 すなわち、神こそは自然を自由かつ絶対的に支配している知性であるという…

スピノザ『エチカ』覚書(10)

目次 (承前)第一部 神について 自然と実体 「定義三および公理六」? 各国語版『エチカ』の比較対照 フランス語版『エチカ』(1842年) 英語版『エチカ』(1891年) オランダ語版『エチカ』(1895年) オランダ語版『エチカ』(1677年) 文献 sakiya1989.h…

スピノザ『エチカ』覚書(9)

目次 (承前)第一部 神について 物を区別するもの 知性の外部は存在するのか 「物」と「実体」の関係 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一部 神について 物を区別するもの 前回の定理三を考察した際に、「物」を「実体」と同一視してもよいかとい…

スピノザ『エチカ』覚書(8)

目次 (承前)第一部 神について 「物」と「実体」 Q.E.D. 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一部 神について 「物」と「実体」 定理三では共通点と因果の関係について述べられている。 定理三 相互に共通点を有しない物は、その一が他の原因たるこ…

スピノザ『エチカ』覚書(7)

目次 (承前)第一部 神について 異なった属性を有する二つの実体 二つの実体を知覚する知性 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一部 神について 異なった属性を有する二つの実体 定理二では「異なった属性を有する二つの実体」について述べられてい…

スピノザ『エチカ』覚書(6)

目次 (承前)第一部 神について 定理 アプリオリな「実体」 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一部 神について 定理 さて、以上の「定義」と「公理」を踏まえた上で、「定理」が述べられる。第一部の「定理」は全部で三十六つ出てくる。 アプリオ…

スピノザ『エチカ』覚書(5)

目次 (承前)第一部 神について 公理 存在様式の区別 概念規定 因果 因果と認識 共通の認識と概念 真の観念 〈非 - 存在〉概念 文献 sakiya1989.hatenablog.com (承前)第一部 神について 公理 続いてスピノザは「公理」について述べている。 「公理」とは…