まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

ホッブズ

読書前ノート(15)トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』

トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』(加藤節訳、筑摩書房、2022年) 完訳として刷新された『リヴァイアサン』 加藤節先生にはすでにアーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』(岩波書店、2000年)やジョン・ロック『完訳 統治二論』(岩波書店、2014年…

ヘーゲルと医学——解剖学・有機体・病理学(1)

目次 はじめに ヘーゲルと医学 ヘーゲルと解剖学 ホッブズと解剖生理学 文献 「自分自身が医者であり、しかも、きわめて思索的な医者でもあるケネー氏は、政治体についても同じ種類の理解を心に思い浮かべ、それは、一定の厳密な養生法——完全な自由と完全な…

読書前ノート(7)梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン シリーズ世界の思想』

梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン シリーズ世界の思想』(KADOKAWA、2022年) 「シリーズ世界の思想」という企画を立ち上げたのは一体どのような人物なのか、ということが気になっている。というのも、各思想家を担当する執筆者の人選が抜群に優れている…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(7)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 古代ギリシアにおける「汝自身を知れ」の意味 ホッブズにおける「汝自身を知れ」の意味 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) しかし、近ごろでは理解さ…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(6)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 人びとを読むことは可能か 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 人びとを読むことは可能か 第一に関しては、賢明さ Wisdome は、書物を読むことによって…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(5)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 本書の構成 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 本書の構成 この人工的人間の本性を叙述するために、私は、 第一に、それの素材 Matter と製作者、それ…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(4)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 人間の機構に擬えられし政治概念 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) 人間の機構に擬えられし政治概念 そして、そのなかで、主権 Soveraignty は全身体…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(3)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』(承前) 序説(承前) ホッブズの合理的な「自然」観 近代的な「国家」概念としての「リヴァイアサン」 なぜホッブズは「リヴァイアサン」という呼び名を「国家」概念に与えたのか 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(2)

目次 ホッブズ『リヴァイアサン』 序説 「自動機械」の政治哲学への応用 自然という技術と人間の技術 文献 sakiya1989.hatenablog.com ホッブズ『リヴァイアサン』 序説 「自動機械」の政治哲学への応用 まずは「序説」から見ていこう。 自然(神がそれによ…

ホッブズ『リヴァイアサン』覚書(1)

目次 はじめに 『リヴァイアサン』のタイトルについて 文献 はじめに 本稿では,トマス・ホッブズ(Thomas Hobbes, 1588–1679)の主著『リヴァイアサン』(Leviathan, 1651)を読む. sakiya1989.hatenablog.com sakiya1989.hatenablog.com 『リヴァイアサン…

ホッブズ『リヴァイアサン』三つの初版:ヘッド・ベア・オーナメント

目次 はじめに 『リヴァイアサン』初版における三つの異版 ヘッド版(真正版)とその異刷 ベア版(海賊版) オーナメント版(海賊版) おわりに 文献 はじめに 今回はホッブズ『リヴァイアサン』(Leviathan, 1651)初版における三つの異版について見ていき…

『リヴァイアサン』の口絵——トマス・ホッブズとアブラハム・ボス

目次 はじめに ホッブズ『リヴァイアサン』の口絵 口絵の図像学と記憶術 アブラハム・ボスの作品 文献 はじめに 今回は「『リヴァイアサン』の口絵——トマス・ホッブズとアブラハム・ボス」というタイトルで書きたいと思う。 ホッブズ『リヴァイアサン』の口…

スティーヴン・シェイピン+サイモン・シャッファー『リヴァイアサンと空気ポンプ』覚書(1)

目次 はじめに ホッブズとボイル 文献 はじめに スティーヴン・シェイピン+サイモン・シャッファー『リヴァイアサンと空気ポンプ:ホッブズ、ボイル、実験的生活』(吉本秀之監訳、柴田和宏+坂本邦暢訳、名古屋大学出版会、2016年)という本を買いました。…

「価値」についての覚書

目次 はじめに ホッブズの「価値」論 文献 はじめに 以下では、これまでに「価値」という概念がどのように論じられてきたのかを、トマス・ホッブズ、アダム・スミス、カール・マルクスらの著作を通してみていきたいと思う。 ホッブズの「価値」論 ホッブズは…

ホッブズの「哲学=科学」論

目次 はじめに 「文系」→「哲学」、「理系」→「科学」 ホッブズの「哲学=科学」論 「科学」 「哲学」 結語 文献 はじめに 先日TwitterのTLにより、隠岐さや香先生が新書を出版されるということを知りました。『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書…

ホッブズの権利論——自然権と自由

目次 承前 ホッブズの「自然権」 「自然権」と「自由」 文献 承前 今回はホッブズの権利論*1について書きたいと思います。 この記事は以下の記事の続きです。 sakiya1989.hatenablog.com 「権利」はオランダ語の regt や英語の right の翻訳語として用いられ…

通俗の弁証法 あるいはカント・ドイツ通俗哲学・西周

目次 はじめに ドイツ通俗哲学 ガルヴェとカント 西周の通俗性 文献 はじめに 小谷英生さんが博論出版に向けて準備をしているようだ。 博論がなかなか出版されないという自他共に抱える悩みを解消するため、下記の企画をさせていただきます。ご興味のある方…