まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

生成AIとヘーゲル

目次 はじめに 生成AIとヘーゲル 生成AIはヘーゲル研究を深化させるか 人間は〈生成AIとしてのヘーゲル〉を理解できるか さいごに はじめに 先日5月30日に発表された「ヒューマニテクスト」(Humanitext Antiqua)*1は、OpenAIのGPT-4oを活用して、哲学者の…

読書前ノート(42)三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

目次 三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書、2024年) はじめに 〈労働か読書か〉の二項対立で見落とされているもの 三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書、2024年) はじめに 前回の「「働いていると本…

「働いていると本が読めない」と思っているあなたへ

はじめに 書店に行くと三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)が平積みになっていて、X(旧Twitter)でもそれに関するポスト(旧Tweet)がちらほら目に入ってくる。けれども、私にとっては人々の感想を読みながら『なんだかモヤモ…

『源氏物語』「宿木」覚書(4)

目次 『源氏物語』 宿木(承前) 藤壺はなぜ物怪に煩い始めた 文献 sakiya1989.hatenablog.com 『源氏物語』 宿木(承前) 藤壺はなぜ物怪に煩い始めた 『校異源氏物語』巻五、1701頁 『校異源氏物語』巻五、1702頁 十四になり給ふ年、御裳着せ奉りたまはん…

『源氏物語』「宿木」覚書(3)

目次 『源氏物語』 宿木(承前) 藤壺による「宿世」の呪縛への抵抗 文献 sakiya1989.hatenablog.com 『源氏物語』 宿木(承前) 藤壺による「宿世」の呪縛への抵抗 『校異源氏物語』巻五、1701頁 わがいとくちをしく人におされたてまつりぬる宿世、嘆かしく…

ヘーゲル『精神現象学』覚書:「Ⅴ 理性の確信と真理」篇(1)

目次 はじめに ヘーゲル『精神現象学』 Ⅴ 理性の確信と真理 「Ⅴ 理性の確信と真理」の導入としての「不幸な意識」の振り返り 文献 はじめに 以下ではヘーゲル『精神現象学』の「Ⅴ 理性の確信と真理」を読む。前回「Ⅵ 精神」の冒頭を取り扱ったが、その箇所を…

『源氏物語』「宿木」覚書(2)

目次 『源氏物語』 宿木 最初期の寵愛とその後 文献 sakiya1989.hatenablog.com 『源氏物語』 宿木 最初期の寵愛とその後 『校異源氏物語』巻五、1701頁 その比、藤壺と聞こゆるは、故左大臣殿の女御になむおはしける。まだ春宮と聞こえさせし時、人よりさき…

ヘーゲル『精神現象学』覚書:「Ⅵ 精神」篇(1)

目次 はじめに ヘーゲル『精神現象学』 Ⅵ 精神 「Ⅵ 精神」の導入としての「Ⅴ 理性の確信と真理」の振り返り 文献 はじめに 以下ではヘーゲル『精神現象学』の「Ⅵ 精神」を読む。「Ⅵ 精神」の箇所は何度読んでも大変難しく、パラフレーズできるか心許ない。な…