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津田真道訳『泰西国法論』
凡例
津田真道訳『泰西国法論』はいわゆる「くずし字」で書かれており、文字起こしするだけでも一苦労である。「くずし字」を読むにあたっては、「Unicode変体仮名一覧」(人文学オープンデータ共同利用センター)を参照した。

凡例
往年余恭しく
大命を奉じ和蘭に游び西周助と偕に法學を来丁 の大學博士シモン・ヒッセリング先生に受け先生の口受に従ひ蘭語の儘筆記せし者五種あり其詳ふるを西氏の譯する所性法口訣の凡例に譲る此書ハ即其第三種にして今余が謹で譯するところなり或は譯字の不當文意の不通を免れず伏して大方の是正を乞ふ
「大命」とは「天皇の命令などを意味する」(佐々木2021: 313)が、「天皇」と直接的に書かないことが肝要である。
この箇所の現代語訳は以下の通りである。
以前、筆者は慎んで
御代による命令を承り、オランダに遊学して西周と共に法学をライデン大学の博士シモン・フィッセリング先生に師事し、先生の口述に従ってオランダ語のまま筆記したものが五科目ある。その詳しいところは西氏の訳した「性法口訣」の凡例に譲るが、本書はすなわちその第三の科目(「国法学」)に該当し、いま筆者が謹んで訳すところである。なお訳語が不当で文意が通っていない点については謗りを免れない。是非とも読者諸賢のご叱正を願いたい。
(拙訳)
ここで津田が参照を求めている西周の「性法口訣」は、正式には「性法万国公法国法制産学政表口訣」という(図5、図6)。


この「性法万国公法国法制産学政表口訣」に津田のいう「五種」の科目が書かれている。「性法 Natuurregt」とは自然法、「万国公法 Volkenregt」とは国際法、「国法 Staatsregt」とは憲法、「制産 Staatshuishoudkunde」とは政治経済学、「政表 Statistiek」とは統計学のことである。