目次
ジャック・デリダ『弔鐘』(承前)
(左)ヘーゲル欄
遊び戯れる二つの特殊な事例
Deux passages très déterminés, partiels, particuliers, deux exemples. Mais de l’essence l’exemple se joue peut-être.
きわめて限定された、部分的な、特殊な、二つの
移行=件り 〔passage〕。つまり、ふたつの例。だが、その本性からして、例というものは、遊び戯れ、本質を手玉に取る。(Derrida1974: 8,鵜飼訳(1)247頁)
デリダは続くパラグラフで、ヘーゲル『精神現象学』における「花の宗教」の一
次のパラグラフに登場するドイツ語の„Übergehen“は「移行」と訳され、フランス語では«passage»と訳されうる。ヘーゲルの術語である「移行 Übergehen」は、或ることがらから別のことがらに移る際の契機として示される。「移行」には何らかの必然性があり、それこそがヘーゲル哲学の「理路」である。
文献
- Derrida, Jacques, 1974, Glas, Galilée, Paris.
- Derrida, Jacques, 1986, Glas, Englisch Translation by John P. Leavey, Jr., and Richard Rand, University of Nebraska Press, Lincoln and London.
- Derrida, Jacques, 2021, Clang, Translated by Geoffrey Bennington and David Wills, University of Minnesota Press, Minneapolis, London.
- デリダ 1997「弔鐘 第1回」鵜飼哲訳,『批評空間』第2期第15号,太田出版.