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マルクス『資本論』覚書(21)

目次

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マルクス資本論』(承前)

第一部 資本の生産過程(承前)

一商品価値の大きさが,労働生産力と労働量に対してもつ相関関係

(1)ドイツ語初版

一般的に言えば,労働の生産力が大きければ大きいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ小さく,その物品に結晶している労働量 Arbeitsmasse はそれだけ小さく,その物品の価値はそれだけ小さい.逆に,労働の生産力が小さければ小さいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ大きく,その物品の価値はそれだけ大きい.つまり,一商品の価値の大きさ Werthgrösse は,その商品に実現される労働の Quantum比例し,その労働の生産力に比例して変動するのである.

(Marx1867: 6)

(2)ドイツ語第二版

一般的に言えば,労働の生産力が大きければ大きいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ小さく,その物品に結晶している労働量はそれだけ小さく,その物品の価値はそれだけ小さい.逆に,労働の生産力が小さければ小さいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ大きく,その物品の価値はそれだけ大きい.つまり,一商品の価値の大きさは,その商品に実現される労働の量に正比例し,その労働の生産力に反比例して変動するのである.

(Marx1872a: 15)

(3)フランス語版

一般的に,労働の生産力が大きければ大きいほど,一物品の生産に必要な〔労働〕時間はそれだけ短く,その物品に結晶している労働の量 masse はそれだけ小さく,その物品の価値はそれだけ小さい.逆に,労働の生産力が小さければ小さいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ大きく,その物品の価値はそれだけ大きい.つまり,一商品の価値の数量 quantité は,その商品に実現される労働の quantum に正比例し,その労働の生産力に反比例して変動するのである.

(Marx1872b: 15)

(4)ドイツ語第三版

一般的に言えば,労働の生産力が大きければ大きいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ小さく,その物品に結晶している労働量はそれだけ小さく,その物品の価値はそれだけ小さい.逆に,労働の生産力が小さければ小さいほど,一物品の生産に必要な労働時間はそれだけ大きく,その物品の価値はそれだけ大きい.つまり,一商品の価値の大きさは,その商品に実現される労働の量に正比例し,その労働の生産力に反比例して変動するのである.

(Marx1883: 7,『資本論①』81頁)

ここでは,一商品価値の大きさに対する労働生産力と労働量の相関関係が,「一般的な Allgemein」ものとして,経済学の公式のように示されている.

 労働生産力の増大(↑)は,平均的労働時間を縮小(↓)し,労働量を減少(↓)させる.このことは商品に結晶化する価値の減少(↓)として示される.

 これに対して,労働生産力の減少(↓)は,平均的労働時間を増大(↑)させ,労働量を増大(↑)させる.このことは商品に結晶化する価値の増大(↑)として示される.

 このことをマルクスは「一商品の価値の大きさは,その商品に実現される労働の量に正比例し,その労働の生産力に反比例して変動するのである」とまとめている.換言すれば,一商品価値の大きさは,労働量とは正の相関関係にあり,労働量生産力とは負の相関関係にあるということである.

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