目次
はじめに
ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930-2004)の有名なテクストに「署名 出来事 コンテクスト」(signature événement contexte, 1971)がある。このテクストは、1971年にモントリオール(Montréal)で行われた「フランス語哲学諸学会国際会議」(Congrès international des Sociétés de philosophie de langue française)の発表が元になっており、『哲学の余白』(Marges de la philosophie, 1972)の末尾に収録されている。のちに言語行為論者のジョン・サール(John Rogers Searle, 1932-)との論争を繰り広げたことにより、同じテクストが『有限責任会社』(Limited Inc.)の冒頭にも収録されている。デリダの署名とともに、デリダの文献ではほぼ必ずと言っていいほど言及されている重要なテクストである。
ジャック・デリダ『弔鐘』(Glas, 1974)を読んでいると、「署名」という鍵句が度々登場する。そうすると、デリダはどのような問題設定で「署名」について述べているのだろうか、ということが気になってくる。そのような問題関心から本書を読んでいきたいと思う。
ジャック・デリダ「署名 出来事 コンテクスト」
前書きだけで力尽きた
(つづく)