まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

ヘーゲル『法の哲学』覚書(2)

目次

sakiya1989.hatenablog.com

ヘーゲル『法の哲学』(承前)

序言

「講義への手引き」としての『法の哲学』

この要綱を出版する直接のきっかけは,私が職務上おこなう法の哲学の講義への手引きを私の聴講者の手もとにあたえておく必要が痛感されたことである.哲学のこの部門についての根本諸概念は,私が以前に私の講義のために用意した『哲学的諸学のエンチュクロペディー』(ハイデルベルク,1817年)のなかにすでに含まれているのであるが,本教科書は,同じ根本諸概念をより大規模に,とりわけより体系的に詳論するものである.

Hegel1820: ⅲ,訳:上11頁)

『哲学的諸学問のエンツュクロペディー要綱』第1版*1が出版されたのと同年の1817年にヘーゲルハイデルベルク大学で「自然法と国家学」に関する法哲学講義を開始している. そもそも『エンツュクロペディー』がすでに「要綱」であるのに,それと「同じ根本諸概念をより大規模に,とりわけより体系的に詳論するもの」である『法の哲学』もまた「要綱」だというのは,なんだかヘーゲルらしくて笑ってしまう.

ヘーゲル法哲学講義

 実際の法哲学講義では,より具体的な事例に言及されることが多々あり,後にその講義を受講した学生が記録したノート*2から編纂されたものが「補遺 Zusatz 」としてガンス版ヘーゲル全集に収められている(Hegel1833).

 学生の記録したノートも複数伝承されており,その邦訳は以下の通りである.

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文献

*1:いわゆる『ハイデルベルク・エンツュクロペディー』(Hegel1817)のこと.これについては,GWに基づく邦訳が最近出版された(ヘーゲル2019).

*2:ヘーゲルの講義録については,ぺゲラー2015寄川2016を参照されたい.ヘーゲル講義録の編纂問題については拙稿「ヘーゲル『世界史の哲学』講義録における文献学的・解釈学的問題」も合わせて読まれたい.