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マルクス『資本論』覚書(2)

目次

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第一部 資本の生産過程

 『資本論』第一巻は「第一部 資本の生産過程」に該当する。その「初版序文」において、続編の構成は次のように予告されていた。

本書の第二巻資本の流通過程第二部)と総過程の諸形態第三部)とを、最後の第三巻第四部)は理論の歴史を取り扱うことになるであろう。

(Marx1867: Ⅻ, 訳27頁)

だが、この予告はマルクス自身によっては果たされなかった。それは未完のままマルクスが亡くなってしまったからである。マルクス没後公刊された『資本論』の続編は、マルクスの遺稿をもとにエンゲルスによって編纂されたものである(『資本論』第二巻「資本の流通過程」および第三巻「資本主義的生産の総過程」)*1

資本論』初版と第二版における篇章の区分けの違い

 マルクスは『資本論』「第二版後記」において、初版からの変更点について次のように言及している。

初版の読者には、まず第一に、第二版で加えられた変更について報告しておかなければならない。篇章の分け方が見わたしやすいものになったことは、一見して明らかである。追加した注は、どこでも第二版への注と明記してある。

(Marx1872: 813, 訳28頁)

 では、篇章の分け方は具体的にどう変わったのだろうか。以下で『資本論』の冒頭部分を見比べてみよう。

(1)ドイツ語版『資本論』初版

第一部 資本の生産過程

第一章 商品と貨幣

第一節 商品

(Marx1867: 1)

(2)ドイツ語版『資本論』第二版

第一部 資本の生産過程

第一篇 商品と貨幣

第一章 商品

第一節 商品の二つの要因 使用価値と価値(価値実体 価値量)

(Marx1872: 9, 訳71頁)

第二版では「篇 Abschnitt 」が追加されたことに伴い、その下の節のタイトルにも変更が加えられている。ささやかな違いではあるが、ここからマルクスが『資本論』第二版において篇章の区分けの改善に努めたあとがうかがえる。 

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文献

*1:ここではいわゆる「プラン論争」あるいは「プラン問題」には立ち入らない。この点について詳しくは大谷2019をみよ。