まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

〔翻訳〕ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(14)

目次

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ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(承前)

富,および諸物の価値について(承前)

ロック貨幣論に対する貨幣史による論駁

 If he means by the Estimate that Common consent hath placed on Silver, That all Governments have agreed to make their Silver Monies equal both for Weight and Fineness, that too will prove a mistake. For the Silver Coins in all Governments in Europe have been at one time or other raised and alter'd; and they never did agree in equal Quantities of fine Silver, as will be shown in the Discourse of Money, and the Par of the several Coins.

 もしロック氏が言う〈一般的な同意が銀につけた評価によって〉,すべての政府が銀貨を重量と純度の両方で均等にすることに同意したことを意味するのであれば,それもまた間違いであることがわかるだろう.なぜなら,欧州のすべての政府の銀貨は,一度や二度は引き上げられたり,変更されたりしたからである.そして,貨幣についての議論や,いくつかの硬貨の額面に示されているように,すべての政府は純銀の量を均等にすることに同意しなかったのである.

(Barbon1696: 9-10)

 ここでバーボンは,ロックの理論を貨幣史によって論駁している.

 欧州における銀貨の改鋳について述べておくと,古くはすでにローマ帝国の皇帝ネロ(Nero Claudius Caesar Augustus Germanicus, 37-68)の時代に,銀貨デナリウスは3.9グラム(1/84ローマンポンド)から3.41グラム(1/96ローマンポンド)に減じられ,その銀の含有量が100パーセントから92パーセントに低下させられたという.

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