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〔翻訳〕ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(11)

目次

sakiya1989.hatenablog.com

ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(承前)

富、および諸事物の価値について(承前)

ある商品から別の商品への転化、そして貨幣
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 同等の価値の属する諸事物のうちには相異や格差はない。すなわち、ある商品は、同一の価値を有している別の商品と同等の財である。百ポンドの値打ちがある鉛や鉄は、百ポンドの値打ちがある銀や金と同等の価値がある。また、百ポンドの値打ちがある布は、百ポンドの値打ちがある上質な布と同等の価値がある。百ポンドの値打ちがあるトウモロコシや畜牛を保有している男は、百ポンドを金銭として保有している男と同等の富豪である。なぜなら、彼のトウモロコシと畜牛はすぐに大金へと転化できるからである。そして、商人や貿易商は常に自分たちの金銭を諸商品へと交換している。なぜなら、彼らは金銭よりも諸商品によってより多くを得ることができるからである。そのような商品は、そのような諸商品が最も不足しているところに輸送するか、またはそのような諸商品の姿形を変化させることによって、より有用なものとなり、それによってより多くの価値の属するものとなるからである。

(Barbon1696: 7-8)

バーボンはここで同じ金額の商品は同じだけの価値があるとみなす。そして同価値であることによって、商品間での交換が可能となる。

 前回見たように、同一の用途でもない限り、商品の豊富さや希少性がその価値(価格)には影響を与えないとされていた。しかし、だからといって、異なる商品が全く比較できないわけではないのである。

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 さて、もしあらゆる諸事物の価値がそれらの使用から生じるのなら、もし豊富さや希少性が諸事物を高価または安価にするならば、もし銀がいくつかの用途のための商品であり、そしてある場所では他の場所よりも豊富であるとすれば、そのときには、銀が何らの確固たる価値または内在的価値をも有することができないという帰結が必然的に出てくるに違いない。そして銀がある確固たりえない価値の属するものであるならば、それは商業と交通の道具には決してなり得ないのである。なぜなら、それ自身の価値が確固たりえないものが、別の価値の確固たる尺度であることは決してあり得ないからである。

(Barbon1696: 8)

バーボンは、これまで自身が示してきた経済法則をもとに、銀がその供給量に応じてその価値が変動するならば、銀の価値は「確固たるもの Certain 」ではないので、それを貨幣として用いることはできないのではないか、という問題提起を行なっている。

(つづく)

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