まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

総括資料をつくる(3)

sakiya1989.hatenablog.com

 この三日間、総括資料をつくるために読書をしていた。資料作成もせずに読書に耽っているというのは、勉強しなければいけないときに部屋の片付けをしたくなる気持ちにどこか似ている。もちろん部屋が片付くことは好ましいことだし、資料作成のための読書で通常の倍の速度で勉強が捗るのである。修士の頃にゼミ発表ギリギリまで原稿を練って書いていた頃を思い出す。もちろんゼミ発表原稿のクオリティはとても仕上がったとは言えない状態で毎回発表していたし、僕は要領が悪くて読み込みも遅く学会発表も全くやってない。それでも自分なりに必死に考えて取り組んだことは血肉化されて後に活きている。

GPTの仕組みを活用する

 さて、前回も触れた通り、ChatGPTへの熱が非常に高まっている。だがこの時代状況を正確に言い直すならば、単に「GPT」すなわち生成AIへの機運が高まっているというべきであろう。文章を介したサービスが「ChatGPT」であり、一方で画像生成AIの影響力も顕著になっている。

 私のような営業職がGPTの仕組みを活用するとしたらどうなるだろうか。まずChatGPTのネックとなるのは、最新の情報は未学習であるので回答され得ないという点である。営業で重要なのは情報格差であり、情報格差の利鞘で儲けているようなものである。その点では、最新の情報が反映されていないChatGPTよりも臨機応変に学習可能な人間の方にまだ分がある。

 ここでひとつ発想を変えよう。GPTをそのままサービスに組み込んで提供するのではなく、GPTの背後でその驚異的なサービスの質を高めている仕組みそのものをリバースエンジニアリングするのである。どういうことか。

 GPTの学習には四つの類型がある。「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」「深層学習」である(古川・酒井2023:71)。

  • 教師あり学習:大量の答えをAIに学習させること。
  • 教師なし学習:答えを予め与えずにAI自身に判別させること。
  • 強化学習:一定のルールに沿ってアウトプットに対するプラスとマイナスの報酬(スコア)を学習させること。ここには人間の手が介在している。
  • 深層学習:インプットに対して中間層がその特徴量を判断してアウトプットすること。

GPTのような生成AIが高い水準で人間のように振る舞うことができるのは、人間の脳を模した学習モデルを採用しているからである。であれば、この学習方法を逆に人間に応用すればいいのではないか、というのが私の言い分である。しかもそれが優れたマネジメントを行っているところではすでになされている可能性がある。

 「教師あり学習」は、われわれ人間の場合で言えば、授業や研修を通じて学び、問題を解くなどして学習させること、いわば座学である。

 「教師なし学習」とは、現場で実践を通じて学ぶこと、いわばOJTである。

 「強化学習」は、上司から部下へのフィードバックのようなものである。つまりアウトプットに対して適切なフィードバックを行うことであり、良い点を褒め、出来ていない点を言語化して伝えることである。

 では「深層学習」はどうだろうか。人間の場合にも「深層学習」の中間層にあたるものを仕組み化すればいいのだ。これはどうやってやるのか。私の中では答えがもう出ていて、一橋大学院のゼミ形式にヒントを得ている。要するに、教官が答えを言わずに、ゼミ生たち同士で内容を判断させるのである。その際に「中間層」に該当するのがゼミ生たちであり、彼らが説明不可能なシナプスを形成し始める時、アウトプットの質の水準が向上するのである。

参考文献