まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

Instagram(2)──調理としてのフィルター

 これまでここ数年にわたって文字における表現を探究してきましたが、Google Pixel 3 XLの新しいカメラを手に入れてからは写真における表現も面白くなってきました。

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 Instagramには写真アプリでおなじみのフィルターを標準搭載しています。「管理」からフィルターを追加すれば、全40種類のフィルターから選択が可能です。

f:id:sakiya1989:20181119144532p:plainInstagramのフィルターは最大40種類から選択可能。「管理」からフィルターを追加して利用できる。)

 ちなみに、僕がInstagramにアップロードした写真もすべてテーマごとにフィルターを適応しています。例えば、横浜駅の写真にはInstagramの「Hefe」フィルターを適用しました。「Hefe」フィルターの特徴はコントラストを強める点にありますので、このフィルターを電飾のある夜景写真に適用すると、黒が引き締まって電飾の色が強調されるようになり、魅せたい部分が浮かび上がってくる効果が得られました。

「フィルター」の語義矛盾?

 ここで一つ面白いのが、「フィルター」という名前がその機能からしてやや語義矛盾であるように使用されている点です。

 本来ならば「フィルター」とは、これによって不純物を取り除くものであり、これはつまり濾過するという機能を持っています。この意味が転じて、例えば「学歴フィルター」と言われるように、一定水準未満の大卒者をふるいにかけて選抜するという意味でも用いられることがあります。この意味におけるフィルターは、それを通して不純物の通過を阻み、純粋なものを抽出することに主眼が置かれています。

 しかしながら、写真アプリにおける「フィルター」は写真素材を加工する機能を持っており、暗くしたり明るくしたり鮮やかにしたり青っぽくしたり、あたかも特殊なレンズを通じて見たような風景へと加工が行われます。これは場合によってはフィルターの適応によってノイズ(不純物)を付加することさえあります。このような意味でのフィルターを料理に例えると、フィルターとは調理だと言えます。つまり、食材を炒めたり焼いたりして、さらに調味料を加えるようなものです。もちろん食材を生でそのまま食べることもできますが、食材を調理することによってより豊かな味わいが得られるのと同様に、フィルターの適応を通じて写真のより多様な表現が可能となるのです。