目次
デステュット・ド・トラシー『観念学要論』第二版(承前)
第一部 固有の意味での観念学(承前)
イントロダクション(承前)
我々がこれから話そうとしている科学には、様々な名称が与えられている。だが我々はもう少し進んで、君たちが主題についての明確な観念を得るならば、君たちはそれにどんな名称が与えられて然るべきなのかがたいへんはっきりとわかるだろう。それまでは、私が君たちに示唆するそれらの名称はすべて君たちに何も教えないか、あるいはここでは問題点とはならない事柄を君たちに指摘することによってひょっとすると君たちを迷わせるであろう。それゆえ研究し、そしてその上で私たちは自らの学んだことを何と呼ぶのかを見いだそう。
(Tracy1804: 5)
ある事柄に付けられる「名称 nom 」は何でも良いというわけではない。その概念に見合った、それにふさわしい「名称」があるはずである。トラシーは対象に検討を加えた上で、それに相応しい「名称」を付けようとする。これは適切な科学的態度であると思う。