目次
デステュット・ド・トラシー『観念学要論』第二版(承前)
第一部 固有の意味での観念学(承前)
イントロダクション(承前)
だが、君たちはこの仕組みが思ったほど複雑ではないことがすぐにわかるだろう。そのことが明白にわかるためには、つぶさに検討するだけで十分である。すでに君たちは、みずから真の諸観念をつくり、それらを的確に表現し、適切に組み合わせることを確信するにはその仕組みを知る必要があると感じている。これら三つの条件は、それを抜きにしてはでたらめに推論するしかないものである。それゆえ一緒に我々の知能を勉強しよう。私は君たちの案内人にすぎない。私がすでに君たちよりも考えたから——なぜならそれが何ら私の役に立たなかったといえるから——ではなく、私はいかにしてひとが考えているのかをとてもよく観察したのであり、それを君たちに見えるようにすることが重要であるからである。
(Tracy1804: 4)
トラシーは人間の思考様式を観察した。その結果、人間の思考様式を、観念の生成・表現・組み合わせの三つにまで集約したのだ。だからそれは「複雑ではない」とトラシーはいうのである。