まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

【時事】『日本経済新聞』2025年(令和7年)9月3日(水曜日)

目次

はじめに

 これまでこのブログでは、書籍、とりわけ古典を中心に取り上げてきた。だが、新聞のテクストを取り上げたらどうなるのだろうか、というアイデアがふと湧き出てきた。「古典は取り扱えるのに、時事ネタはイマイチ」というのでは格好がつかないので、一旦試してみたい。

 筆者が出張でよく使うホテルの一つにアパホテルがある。そのアパホテルには、フロント階に読売新聞の朝刊が置いてあって、宿泊者は自由に持っていくことができる。読売新聞は文字の大きさが大きく、分量的にも読む負担が少なく、出勤前でもサクッと読むことができる。

 一方、日本経済新聞は文字が小さく、分量も比較的多いので、読むのに2時間ぐらいかかる。そのため、出勤前に内容を全て消化することはできない。もちろん文字の大きさや分量だけで一概に新聞の良し悪しを語ることはできないが、同じ日付の読売新聞と日本経済新聞の朝刊をそれぞれ読み比べてみて、いずれも同じテーマが扱われていれば、どの新聞社であっても優先的に掲載すべきと判断した重要なニュースであることが分かる。ただし、各社の独自取材に基づく切り口は、他社のそれとは若干異なっていることがある。

日本経済新聞

2025年(令和7年)9月3日(水曜日)

日本経済新聞』2025年(令和7年)9月3日(水曜日)
1面記事「新浪サントリーHD会長辞任」

1面記事「新浪サントリーHD会長辞任」に関しては、X(旧Twitter)上で「アラ太郎(旧アラビア太郎)ではないか」という憶測が流れている。経歴が似ているというの理由らしいが、すでにゴシップネタの域である。

5面記事「マンションの第三者管理 印鑑・通帳、業者保管OKに」

5面記事「マンションの第三者管理 印鑑・通帳、業者保管OKに」に関しては、改正に盛り込まれた5条件がしっかり運用されているかをチェックする機能を付けないと(付けたとしても)、運用に不安が残る。特に印鑑・通帳はいわゆる地面師詐欺に繋がらないかという懸念がある。

5面記事「車購入時の税 割れる省庁」

5面記事「車購入時の税 割れる省庁」では、トランプ関税の打撃を緩和するために環境性能割の廃止を主張する経産省に対して、財源が減ることを懸念するその他省庁(総務省国交省環境省)との間で意見が割れている。総務省は「地方自治体の税収減を懸念」し、国交相は「道路維持費の減少を危惧」しており、環境省は「ガソリン車の販売増を警戒」している。経産省以外が廃止に慎重姿勢なのを見ると、各方面にどこまでマイナスに影響するのかを考慮する必要はありそうだ。

7面コラム「米国の「愛国的」資本主義」(ジリアン・テット、フィナンシャル・タイムス)

7面コラム「米国の「愛国的」資本主義」(ジリアン・テット、フィナンシャル・タイムス)では、現トランプ政権が主導する経済政策を「「愛国的」資本主義」と呼んでいる。このコラムではリベラルな米国において、米政府がインテル株式を取得して価格決定権を握りに行ったり、米国防衛省がMPマテリアルズの株式を15%取得して希少資源のレアアースの市場価格に影響を与えていることが、自由市場の国を標榜する米国の伝統に反しているとして、それを「「愛国的」資本主義」と呼んでいる。しかしながら、先月紹介した将基面貴巳『愛国の起源』(筑摩書房、2022年)で示されている「愛国」の源流を想起するならば、まったく適切な形容だとは思われない。むしろ「〈市場〉対〈国家〉」の図式で、市場に対する国家の介入が強まっているという意味では、古典的なポリツァイ権力の巨大化であるという意味では、「ポリツァイ的」資本主義と呼んで差し支えなかろう。