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スマホ決済サービス
さて、今回は「スマホ決済サービスについて」というテーマで書こうと思います。
今一番ホットな話題が「〇〇pay」というスマホ決済サービスではないでしょうか。有名なスマホ決済サービスとしてはLINE Pay、PayPay、楽天ペイ、d払いなどが挙げられます。
スマホ決済のブランドがあまりにも乱立し過ぎており、追いかけるのも面倒な印象を受けます。僕は最初に慣れたブランドを使い続ける事になりそうです。
中国では、2014年以降キャッシュレス化が進んでいると言われています。
中国で主に使用されているのは微信支付(WeChat Pay)*1と支付宝(Alipay) *2です。
とりあえず日本でAlipayを使えないものかとアプリをインストールしてみたのですが、表記が中国語だったので一旦見送る事にしましたw
ネットで検索すると、開設方法を解説しているサイトもありますね。
WeChat Payの利用者を爆発的に増加させた「红包」機能
中国には「红包」という文化があります。 これは、春節(中国の旧正月)や誕生日などの記念日に、紅い袋にお金を入れてプレゼントする文化のことらしいです。
日本で言えば「祝儀袋(あるいはボーナス)を渡す」のに近い概念かもしれません。(もちろん厳密にいうと、日本の「祝儀袋」という文化は、「红包」とは違う歴史的背景を持っているので、両者を同義とみなす事は出来ませんが…。)
中国のLINEともいうべきWeChatが決済サービスにおいてユーザー数を爆発的に増やしたのが「红包」という機能を実装したからだという話があります。
「2014年春節にはウィーチャットのお年玉機能「微信紅包」が爆発的な人気を博した。ウィーチャットは市場獲得のために特別にリソースをつぎ込んだわけではなかったにもかかわらず、微信紅包は想像をはるかに超えるスピードでウィーチャットユーザーに広がり、それに伴ってテンセントの時価総額は1兆香港ドルを突破した。」(廉薇ほか2019、92頁)
西村友作によると、この「ホンバオ」機能によってユーザーはゲーム感覚でウォレットにお金を手に入れ、これを機会にQRコード決済へのハードルが低くなったということです。
「「ホンバオ」は一対一のチャット上で渡すのが基本だが、グループチャット内で複数の相手に送ることもできる。面白いのは、グループチャット内で「ホンバオ争奪戦」ができる機能を搭載したことだ。この場合、「ホンバオ」の送り手が、総額と「ホンバオ」数(もらえる人の数)を決めて送る。もらう側は早くタップした人から順番に獲得できるが、もらえる金額はランダムに決まる。」(西村2019、29〜30頁)
「このプロモーションにより、それまでウィーチャットペイを使ったことのなかったユーザーの「ウォレット」(アプリ内の口座)に、急にお金がたまり始めた。実は私もそうだった。この年の春節に、中国人の同僚や友人たちとのグループチャットの中で、よく意味を理解しないままゲーム感覚で遊んでいたら、気が付いたら「ウォレット」のなかに数十元(数百円)のお金が入っていた。」(同前、31頁)
「微信红包」の特徴は「拼手气红包」というランダムな金額を複数の人々に送金できる点です。WeChat Payでは同額を複数人に送信することもできるのですが、獲得できる金額をランダムにする事によって、送金機能がゲーム性を獲得したのです。ユーザーがゲーム感覚で残高を獲得していったことで、WeChat Payのシェアは大きく拡大したと言われています。
「全員にあげちゃう300億円祭」(LINE Pay)
同じようなゲーム性を狙ってシェアの拡大を目論んでいるのが、ちょうど昨日から始まったLINE Payの「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」(5/20(月)〜5/29(水))だと思われます。
これは「友だち」に1,000円相当のLINE Payボーナスを送金するキャンペーンだそうです。送金金額を「1,000円相当」と固定したのは、日本で金額をランダムにしたらクレーム沢山来そうだからかも知れません。
文献
- 廉薇・辺慧ほか 2019『アントフィナンシャル:1匹のアリがつくる新金融エコシステム』永井麻生子訳, みすず書房.
- 西村友作 2019『キャッシュレス国家:「中国新経済」の光と影』文藝春秋(文春新書).