まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

弊社の販売契約社員5年満期雇い止めに妥当性はあるか(2)

sakiya1989.hatenablog.com

 「ブラック企業*1とはこのことか、と思った。「ブラック企業」とはもちろん弊社(ソフトバンク株式会社)のことである。こんなことを書いたら私は弊社から訴訟を起こされても仕方がないと思うが、「ブラック企業」という評価に関しては私の意見も尊重されるべきである。何より労働問題という大事なことについて、明確に批判できない社員が増えているのが情けない。弊社の労働組合は正社員の給与額のベースアップだけを交渉しているが、臨時社員の側にももっと眼を向けるべきである。

 販売契約社員採用時の雇用契約に基づいて、被雇用者が5年満期で契約更新終了になる。これはシャイロックよろしく雇用契約書通りに遂行されたから問題ない、と会社は考えているのだろう。だが昨今の資本主義市場で重視されるのは倫理である。販売契約社員を5年以上雇わないことで何が企図されているのか。その制度は、無期転換ルールを回避することを目的としている。だが、人間は歳を取るし、5年もその仕事に従事していたら、20代の人間でも30代に突入する。結婚もすれば子供もできる。徐々に他業界への転職も厳しくなる。真っ当な倫理観を持っているならば、企業は被雇用者の年齢に応じた責任を持つべきである。5年も契約更新された熟練労働者は賃上げされるのが当然である。契約社員といえども、その仕事に負っている責任は正社員のそれと同等である。5年で雇用関係が終了する弊社の現行制度は、会社が大人としてのそうした責任を一切負いたくない、と宣言しているようなものである。それは端的に言って倫理に反している。私が「ブラック企業」と呼ぶゆえんである。

 今はまだ序の口だが、すでに多少は現場に弊害が出てきている。要するに雇用開始から約5年程度経過した熟練労働者が居なくなるのだから、人が減った分は新規採用で穴埋めをしなければならない。だが、人を育てるというのは単に知識を詰め込むとかスキルを身につけてもらうとかそういった側面だけで判断されるべきではない。熟練労働者が身に纏っているのは、その労働の歴史そのものであり、雇用停止によって会社は自身の歴史の継承を喪失することになる。むしろ労働を通じて得られた歴史性こそが、会社の核を形成することになる。

 雇用関係の終了は、せっかく人を育てている我々の成果をも否定する行為である。無駄もはなはだしい。

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