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ライプニッツ『モナドロジー』覚書(4)

目次

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ライプニッツモナドジー』(承前)

〈事物の要素〉としての「モナド

(1)エルトマン版(1839年

(2)ゲルハルト版(1885年)

3 さて,部分がないところには,拡がり〔延長〕も,形も,可分性もない.そしてこうしたモナドは,自然の真の原子であり,ひとことで言えば事物の要素である.

(Leibniz1839: 705,Leibniz1885: 607,谷川・岡部訳13頁)

ここでライプニッツは「モナド」を「自然の真の原子アトム」だと述べている.いわゆる原子論アトミズムの言説は,それ以上分割できない極小の「原子アトム」からあらゆる事物が構成されているというものである.これに対して,ライプニッツの「モナド」は,それが部分を持たないがゆえに「可分性 divisibilité possible 」を持たないという点で,いわゆる原子論における「原子アトム」と同じ特徴を兼ね備えている.しかしながら,「モナド」はそれにとどまらず,「拡がり〔延長〕も,形も」ないのであるから,原子論のようにそれ以上分割できないものではなくその自然本性からして分割できないものである.これこそがここで「モナド」が「自然の真の原子アトム」といわれる所以であり,原子論における「原子アトム」と異なっている点である.

 この箇所はケーラーのドイツ語訳では次のように翻訳されている.

§3 さて,部分がないところには,縦・横・奥行きの拡がり〔延長〕も,形も,可分性もない.そしてこうしたモナドは,自然の真の〈原子〉であり,ひとことで言えば事物の要素である.

(Leibniz1720: 2-3)

ケーラーのドイツ語訳はフランス語版とほとんど同じ意味だが,「拡がり〔延長〕 étendue 」の意味を,より詳しく具体的に三次元の空間として「縦・横・奥行きの拡がり〔延長〕 eine Ausdehnung in die Länge, Breite und Tieffe 」と訳している.これはケーラーによる補訳だと思われるが,この補訳は適切である.というのも,「モナド」が三次元空間上に存在する物体とは次元の異なるものであるということが,ここでのライプニッツの主張だからである.

(つづく)

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