目次
今回はガーダントヘルスとリキッドバイオプシーについて書く。
はじめに
株式市場が全体的に下落している。最近はボラティリティが大きく、1日で数十万資産額が変動することに鈍感になってしまったが、それでも運用に関して反省すべき点がたくさんあった。いい機会なので、不要な銘柄を売って、新しい投資先を探すのが良いかもしれない。
問題はどこに投資するかである。
ガーダントヘルス
最近、新たな投資先としてガーダントヘルスが気になっている。今年まだ上場したばかりの会社だ。血液からがんの遺伝子検査をする会社である。
(ガーダントヘルスのチャート、赤線は筆者)
チャートに線を引いてみたが、特に意味はない。
リキッドバイオプシー
筆者はがんについて詳しいことは知らないが、あえて簡単な説明に挑戦してみる。間違っていたら許してほしい。
がんを診断する際には、ふつうバイオプシー、すなわち生体検査(以下、生検)という方法をとる。これは腫瘍組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べ、がんの診断を下す方法だ。従来の生検は、人体の一部を切除する侵襲的検査なので、患者の身体への負担が大きい。身体への負担の大きさが分からないという人は、シャイロックに一ポンドの肉片を切り取られる苦しみを想起されたい。
これに対して、ガーダントヘルスが提供するのがリキッドバイオプシー、すなわち血液生検という方法である。これは血液を採取して、がんの診断を下す方法だ。リキッドバイオプシーは、血液の採取だけで済む非侵襲的検査なので、従来の生検と比べて患者への負担は軽い。小さい試験管2本分の血液をガーダントヘルスに送付して、検査結果を1〜2週間程度待つだけだ。
がん患者の体内では、がん細胞が腫瘍から血液へとわずかに漏れ出したり、漏れ出したがん細胞から発生したDNAが体内を循環していることがある。前者をCTC(血中循環腫瘍細胞)と呼び、後者をctDNA(血中循環腫瘍DNA)と呼ぶ。これらのサインをバイオマーカー*1として利用することができる。
がんが肺がんや前立腺癌などの多様な部位で腫瘍を発生するのと同じく、がんのDNAも発生部位によって異なるとされる。ガーダントヘルスの提供する「Guardant360」では、73ものがん遺伝子を識別することができるので、それぞれのがん遺伝子に合わせて適切な治療法を行うことができるのである。
おわりに
筆者はかつて修士論文執筆中に体の調子が悪くなり、「もしかして自分はがんじゃないか」と疑った時がある。その後、無事治ったからよかったものの、自分ががんかもしれないと思った時の恐怖は筆舌し難いものがある。
がんは死亡要因の代表的なものであり、人生100年時代にはいつか誰もがなっておかしくない病気だ。リキッドバイオプシーのように患者の身体への負担を減らす有効な対処法がテクノロジーによって実現されることは望ましい。さらなる進展に期待したい。
文献
*1:バイオマーカーとは「通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療的介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される特性」のことである。