まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

文献表の作成について

 今回は、文献表の作成ついて書きたいと思います。

 私はこのブログで関心のあるテーマについて記事を書いていますが、記事を書く前には必ずと言って良いほど文献表を作成しています。「まだ先行研究で消耗してるの?」*1というふざけたタイトルを採用していますが、私は決して先行研究を無視していいとは考えていません。

 論文を書く場合、当然のことながら先行研究を無視することはできません。先行研究を踏まえた上で、自分の研究が新たに付け加える意義を自ら明らかにしなければなりません。

 このブログ記事は論文ではありませんが、時間が許す限りで先行研究に当たることを常としています。先行研究に当たる前段階として、私は文献表を作成しています。

 私が文献表を作成するにあたって参考にしているサイトは、主にCiNii ArticlesとJ-STAGEAmazon、そしてGoogle検索です。

これらのサイトで検索したものを、Googleドキュメントで文献表として手入力でリストアップします。

f:id:sakiya1989:20181218184947j:plain(文献表の例。Googleドキュメントでクラウド上に保存してある。)

 手入力で文献表を作成するのはだいぶ骨が折れます。「もしかしたら文献表を作る必要などないかもしれない」とさえ思うこともあります。というのも、CiNiiやJ-STAGEで「ヘーゲル」や「ベンヤミン」と入力すると、そのワードで引っかかった論文が一気に表示されるのですから、読む必要に応じてその都度検索すれば良いような気もします。実際、文献表を作るだけならば、Webスクレイピングで自動化すれば事足ります。

 しかし、注意しなければならないのは、文献表を作ることそれ自体が目的なのではなく、文献表の作成は関心のあるテーマについて適切に書くために必要な通過儀礼であるということです。というのも、私は文献表の作成という過程を通じて、その関心のあるテーマの文献表を常に頭の中に思い浮かべることができるようになり、しかもこの想起が原動力となってふと「あの文献を読もう」という意欲が生まれてくるからです。このような効果を期待して手入力で文献表を作成しているのですから、文献表の作成を自動化することは(それが可能であるとしても)できないのです。

 文献を作成し保存するのはGoogleドキュメントがおすすめです。どういうわけか、毎年恒例Twitterでは卒論の時期になると「バックアップを取りなさい」というツイートがTLに流れてくるのですが、ドキュメントファイルをパソコンやUSBメモリにのみ保存するというのは過去のやり方であって、今後はGoogleドライブのようなクラウド上に保存し、書き進めたら自動で保存されるというのが現代のやり方です。

 余談ですが、かつて私が在籍していた一橋大学大学院社会学研究科修士課程では、M2以降の在籍者は全員「リサーチワークショップ(RW)」というものを行うことになっています。RWでは、社会学研究科の指導教員たちを前に自分の研究テーマについて発表します。事前にレジュメを2〜3ページほどでまとめて提出するのですが、レジュメは修士論文目次・概要(3〜4ページ程度)・参考文献から成ります。私が書くために参考文献をリストアップするという習慣を身につけたのは、このRWを通じてだったと思います。

*1:このタイトルはイケダハヤトさんの「まだ東京で消耗してるの?」をもじったものです。