まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

ブルデューに学ぶ

今回はブルデューについて書こうと思います。

 

僕は最近ブルデューの本を読んでいます。一般的にはあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、ブルデューPierre Bourdieu, 1930-2002)はフランスの社会学者です。日本では藤原書店から翻訳が沢山出ています。

今月はブルデューの本を3〜4冊ほど買ってみたのですが、僕が何度か読んだのは『科学の科学』(藤原書店、2010年)という本です。

僕はブルデューをかじりながら、ブルデューは偉大な人物だった、とつくづく思います。なぜなら、ブルデューは社会の事柄を表現する様々な用語を作り出したからです。それは例えば「ハビトゥス」「文化資本」「界」などです。ブルデューがこれまで表現されてこなかった社会の事柄をずばり表現する新たな用語を作り出すことによって、我々はそれを理解することができるようになったのです。ブルデュー用語の1つである「文化資本le capital culturel)」という概念は、これによって事柄を説明できる寄与が大きく、画期的だと思います*1

ブルデューの他にも素晴らしい仕事をした社会学者はいます。イヴァン・イリイチの「シャドウワークshadow work)」という概念もまた、この言葉によって社会の、というよりは家庭の事柄を理解し、説明することを可能にしました。

僕はブルデューイリイチのことを念頭に置きながら、見えてるようで説明できていない事柄はないかな〜と思って過ごしているのですが、全然見えてきません。忙しなくすぎていく日々。なので、彼らのように事柄をずばり表現するだけでもすごいことだと思うのです。

*1:もちろんブルデューが「資本」という概念を拡張し転用した最初の人だというわけではない。「資本」といえば金銭的・経済的な用法が真っ先に頭に浮かぶが、すでにアダム・スミスは「人的資本(Human Capital)」という言葉で人間の技能や判断力を表現しており、またジョン・デューイは1899年の『学校と社会』のなかで「社会関係資本Social capital)」という言葉を用いてコミュニティについて論じている。後者に明確な定義を与えたのがブルデューである。