まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

採用と投資 ー投資人材と消費人材ー

今回は採用と投資、人材投資について書きたいと思います。

最近、投資に関するブログや本を読んでいるのですが、投資への考え方や手法が、会社で人を採用する際にも応用できるんじゃないかなーと考える時があります。例えば、分散投資という手法が採用でも使われているのではないでしょうか。

近頃データサイエンスが人気なので、「ハイパフォーマーの要素を分析すれば、これから採用される人間がハイパフォーマーになれるかどうかを判別できるのではないか」と、色々試行錯誤している時代でしょう*1。データサイエンスそれ自体は良いのですが、市況は常に変わりますし、過去の成功事例がずっと続くわけではないので、人材を選ぶ際は、ある程度個々人の得意なスキルやマインドセットを分散させていく方がリスクは回避できるのかもなーなどと思っています。同じ職種でも、ハイパフォーマーを支えるミドルパフォーマーというのもありえますし、両者がいなければハイパフォーマーもハイパフォーマンスを成り立たせることができなかったりしてね*2。攻め(≒売り)に強い人間もいれば、守り(≒クレーム対応)に強い人間もいるわけなので。

ちなみに分散投資には、買いの時間をズラす時間分散という考え方もあります。採用も一気にガッと採るよりも、ドルコスト平均法のようにコツコツ採っていくのが良さげです。

あとは採用にバリュー投資の考え方も使えそうですね。「その人材、割安なら買ってみれば?」という感じです。

ちなみに採用が投資だとすれば、雇用も投資だと考えることができそうです。これはおそらく一般に人材投資と呼ばれているものです。

会社は社員に毎月給料を払うわけですが、社員が業務内で能力を高めるだけでなく給与を自己投資に回して磨きをかけてくれれば、人材としての価値が高まっていくんじゃないでしょうか。

給与を自己投資に回してくれる人材を「投資人材」と呼ぶことにしましょう。人材も会社の資産だと考えれば、人材という資産価値が複利で増えていくのが望ましいですよね。

反対に、給与が社員にとって単なる消費か浪費にしかならないのであれば、ポートフォリオを少し見直して、リバランス(組織編成、あるいはリストラ?)が必要かもしれません。

給与が単なる消費や浪費に消えていくような社員のことを「消費人材」と呼ぶことにしましょうか。これはなんとも悲しい響きですね。

自己投資の仕方は十人十色で完全に個人に任されているといえますが、僕の場合は情報収集が得意なので、主に休日に読書やネットサーフィンをしながら、勝手に独自研究を進めたり、業務に関係ない本を読んだりしています。このブログでは自分から情報を発信していますが、そのために下書きノートとしてスプレッドシートに情報を整理したりもしています。一言で言うと、インプットとアウトプットの両方を行なっています。

また僕は実際に投資も行なっています。米国株25社に180万円を分散投資し、またロボアドバイザーのウェルスナビで90万円を運用しています。

職場で知り合った友達向けにLINEで自分の投資の近況や情報を伝えているのですが、どうやら最近、一部の友達からは僕の発信する内容が難しくてついていけないという声が上がっていることを知りました。その友達は「ロボアドバイザーって何?」という状態だそうです。難しくてついていけないこと自体は問題ではなく、むしろどんどん発信してほしいと言われたのですが、もしかすると普通の人が普通に仕事していたら投資のことってあまり知らないのかもしれませんね。

*1:この点、セプテーニホールディングスの人的資産研究所の論文が示唆に富む。例えば、人的資産研究所「2015年7月度 研究レポート 人事データマネジメントおよび統計技術を活用した『科学採用』キャリア編」では、「E(環境との相性)」と「P(パーソナリティ適合度)」という2つの軸から9つのboxに区分して分析対象者をスコア判定している。

*2:統計学的には同一のKPIで測られる人数が多ければ多いほど正規分布に近づくのであり、その意味ではハイパフォーマーは常にミドルパフォーマーやローパフォーマーなくして存在し得ない(測定できない)。しかし、だからといってハイパフォーマーを集めることが無意味だということにはならない。むしろ重要なのは積分の考え方であり、全体のパフォーマンスの総和を大きくすることを中心に考えることが重要であると思われる。