まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

その質問、必要ですか?

 昔、採用面接で「どんなときに嬉しいと感じますか?」という質問を受けたことがある。僕がこの質問にどう答えたかについては、ここでは置いておくことにする。

 そのとき、僕には「嬉しい」という個人的な感情について面接官が質問したことの意図が全く理解できなかった。仕事において重要なのは感情ではなく理性だと僕は考えているからだ。思い出すと、面接官に「その質問、必要ですか?」と言ってやりたい気分に駆られる(もちろん口に出しては言わないが)。

 もちろん仕事に感情が不要だということではない。「嬉しい」というポジティブな感情が、仕事になんらかの影響(それが良い影響か悪い影響なのかはわからない)を与えるかもしれない。だが、その場合には逆もまた然りであり、ネガティブな感情が仕事になんらかの影響を与えると考えるべきだろう。

 例えば、理性的な判断を欠いて失言することで、多少なりとも墓穴を掘ることになった政治家を何人か知っているだろう。理性ではなく感情に基づく判断と行動には危険がつきものなので、僕の中では感情に優先権を持たせないように重々注意を払っている。

 とはいえ、現代には感情に基づく判断や行動を促進するシステムが氾濫している。これを「感情システム」と呼ぼう。「今だけ!」のように限定感を持たせるタイムセールや数量制限や、口臭対策商品のCMでよく利用される不安訴求は、「感情システム」をセールスに上手く利用している一例である。

 またFacebookの「いいね」やTwitterの「♡」も「感情システム」の典型例であると言えるかもしれない。「いいね」や「♡」をもらうと人は嬉しいと感じるので、うまくいけばそのSNSをやめようとは思わないだろう。SNS疲れという問題もあろうが、これは利用の仕方に慣れてくれば緩和される。SNSについてはまだあまり考察できていないので、この辺で書くのをやめておく。

 こういう感情システムを商品やセールスに組み込むことで売上を伸ばすのは、セールスの立場からすれば理性に基づく行動かもしれないが、自分が感情システムの中に巻き込まれてしまうのは好ましくないと思う。