まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

研究ノート

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「世界史」篇(2)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 世界史(承前) 四つの世界史的帝国 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 世界史(承前) 四つの世界史的帝国 第354節 これら四つの原理に従って,世界史的帝国には次の四つが存在する.(1)…

読書前ノート(7)梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン シリーズ世界の思想』

梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン シリーズ世界の思想』(KADOKAWA、2022年) 「シリーズ世界の思想」という企画を立ち上げたのは一体どのような人物なのか、ということが気になっている。というのも、各思想家を担当する執筆者の人選が抜群に優れている…

デカルトにとっての〈数学〉:『方法序説』を中心に

目次 デカルトにとっての〈数学〉:『方法序説』を中心に 文献 sakiya1989.hatenablog.com デカルトにとっての〈数学〉:『方法序説』を中心に ここでは先ず、デカルトが〈数学〉についてどのように考えていたのかという点について、彼の『方法序説』を中心…

〈哲学〉と〈数学〉の関係を考える

目次 はじめに 思考実験その一:〈哲学〉と〈数学〉の四則演算 思考実験その二:等式の変形 〈哲学〉の条件としての〈数学〉 文献 はじめに 〈数学〉の発展がその時代の〈哲学〉に与えた影響は決して少なくない。かの偉大な哲学者プラトンは、算術・幾何学・…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「抽象法」篇(1)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第一部 抽象法 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 第一部 抽象法 第34節 即自的かつ対自的に自由な意志も,この意志がその抽象的概念においてある場合には,直接性〔無媒介性〕という規定性の…

読書前ノート(6)佐藤直樹『基礎から身につく「大人の教養」』/カート・セリグマン『魔法』

目次 佐藤直樹『基礎から身につく「大人の教養」 東京藝大で教わる西洋美術の見かた』(世界文化社、2021年) カート・セリグマン『魔法 その歴史と正体』(平田寛・澤井繁男訳、平凡社、2021年) 佐藤直樹『基礎から身につく「大人の教養」 東京藝大で教わ…

読書前ノート(5)イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』

イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』(金子洋之・大西琢朗訳、森北出版、2017年) 最近興味を持っているのが、数学と哲学の関係である。かの偉大な哲学者プラトンは、自身の設けたアカデメイアという学園において、算術や幾何学、天文学を…

読書前ノート(4)蛯谷敏『レゴ——競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』

蛯谷敏『レゴ——競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』(ダイヤモンド社、2021年) 「ソフトバンクでは「レゴシリアスプレイ」を活用している」という記事を読まなかったら、おそらく私が本書を手に取ることは無かっただろう。そもそも私は生まれ…

読書前ノート(3)前田鎌利『課長2.0 リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法』

前田鎌利『課長2.0 リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法』(ダイヤモンド社、2021年) 前田鎌利さんはソフトバンクのOBであり、本書ではその頃の経験に基づいてマネージャーのノウハウが語られている。東浩紀『一般意志2.0』を彷彿させるタイト…

読書前ノート(2)岩波哲男『ヘーゲル宗教哲学入門』

岩波哲男『ヘーゲル宗教哲学入門』(理想社、2014年) 神保町の三省堂書店でたまたま本書を見つけて手に取った。ヘーゲルの著作の背後には、常に宗教性(とりわけキリスト教の)が垣間見える。それは『精神現象学』であれ、『論理学』であれ、『エンツュクロ…

読書前ノート(1)赤松明彦『『バガヴァッド・ギーター』』/臼杵陽『大川周明』/エドワード・J・ワッツ『ヒュパティア』

目次 読書前ノート 赤松明彦『『バガヴァッド・ギーター』——神に人の苦悩は理解できるのか?』(岩波書店、2008年) 臼杵陽『大川周明 イスラームと天皇のはざまで』(青土社、2010年) エドワード・J・ワッツ『ヒュパティア 後期ローマ帝国の女性知識人』(…

ヘーゲル『精神現象学』読書会予習(1)

目次 はじめに ヘーゲル『精神現象学』 精神 啓蒙の主張 文献 はじめに 以下の内容は私が参加しているヘーゲル『精神現象学』読書会予習のためのメモであり,第三者に読まれることは想定していない. ヘーゲル『精神現象学』 精神 啓蒙の主張 第一に啓蒙は,…

バウムガルテン『美学』覚書(1)

目次 はじめに バウムガルテン『美学』第一巻 序論 美学に装飾された〈花冠〉 感性的認識の〈学問〉としてのバウムガルテン美学 美の表象の複合体としての〈感性的認識〉 文献 はじめに 本稿ではアレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン(Alexander Go…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「世界史」篇(1)

目次 ヘーゲル『法の哲学』 世界史 「世界史」における「普遍的精神」 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』 世界史 「世界史」における「普遍的精神」 第341節 普遍的精神が定在する境位は,芸術においては直観と像,宗教においては感情と…

ヘーゲル『法の哲学』における「世界史」の位置付け

目次 はじめに なぜ「世界史」は『法の哲学』の最後に位置付けられているのか 「世界法廷」としての「世界史」 文献 はじめに 以下では,ヘーゲル『法の哲学』における「世界史」の位置付けについて見ていきたい. ヘーゲルの世界史の哲学,あるいは歴史哲学…

ヘーゲル社会哲学とジェンダー

はじめに どんな領域においても現代においてはジェンダーの問題を取り上げることなしに論じることはできない。哲学もまたそうである。私が繰り返し取り上げているヘーゲルの場合はどうだろうか。そもそもジュディス・バトラー自身がヘーゲル研究をバックボー…

マルクス『資本論』第一巻「初版への序文」(1)

はじめに 本稿ではマルクス『資本論』第一巻「初版序文」を見ていく. マルクス『資本論』第一巻「初版への序文」 マルクスの病気:潰瘍・肝臓病・フルンケル (1)ドイツ語初版 序文 私がその第一巻を刊行するこの著作は,1859年に出版された私の著書『政…

マルクス『資本論』におけるダンテ『神曲』(1)

はじめに 「マルクスとダンテ」というテーマが主題として書かれることはほとんどない。だが、もし仮に「マルクスとダンテ」というテーマを立てるとすれば、一体どのようなことが明らかになるだろうか。おそらくこのテーマに取り組んでみることは、我々が『資…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(6)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 偶然性と必然性,自然態と人倫態,そして自由 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 偶然性と必然性,自然態と人倫態,そして自由 ——いま述べられた点に…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(5)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 「国家」を「市民社会」と取り違えてはならない 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 「国家」を「市民社会」と取り違えてはならない 第324節の注解を見…

マルクス『資本論』覚書(18)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 社会的必要労働時間の量によって規定される価値の大きさ 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 社会的必要労働時間の量によって規定さ…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(4)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 肯定的なものとしての国家の主権性と自主独立 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 肯定的なものとしての国家の主権性と自主独立 第324節 個々人の利益…

マルクス『資本論』覚書(17)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 社会的平均労働時間と価値の低落 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 社会的平均労働時間と価値の低落 (1)ドイツ語初版 ある商品…

マルクス『資本論』覚書(16)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 「労働時間」によって計られる「価値」 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 「労働時間」によって計られる「価値」 (1)ドイツ語…

マルクス『資本論』覚書(15)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 人間的労働と価値の共同社会性 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 人間的労働と価値の共同社会性 (2)ドイツ語第二版 そこで我々…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(3)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 国家の外部性と否定的連関 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 国家の外部性と否定的連関 第323節 定在においては,だから,国家が自己に対してもつこ…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(2)

目次 ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 諸国家の独立性と統合の問題 文献 sakiya1989.hatenablog.com ヘーゲル『法の哲学』(承前) 対外主権性(承前) 諸国家の独立性と統合の問題 第322節 排他的な対゠自゠存在としての個体性は,他の諸…

ヘーゲル『法の哲学』覚書:「対外主権性」篇(1)

目次 はじめに ヘーゲル『法の哲学』 対外主権性 個体性としての対外主権性 文献 はじめに 以下では,ヘーゲル『法の哲学』第三部「人倫」第三章「国家」A「国内法」II「対外主権性」を取り扱う. ヘーゲル『法の哲学』 対外主権性 個体性としての対外主権性…

マルクス『資本論』覚書(14)

目次 マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 労働の測度単位としての単純平均労働 文献 sakiya1989.hatenablog.com マルクス『資本論』(承前) 第一部 資本の生産過程(承前) 労働の測度単位としての単純平均労働 次の箇所もドイツ語…

〔翻訳〕ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(19)

目次 ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(承前) 貨幣,およびいくつかの鋳貨の額面について(承前) 名目価値と実質価値のズレ 文献 sakiya1989.hatenablog.com ニコラス・バーボン『より軽い新貨幣の鋳造に関する論究』(承前) 貨…