まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

「不気味の谷」現象を、あえて利用する

こんにちは。

 

今回は「不気味の谷(uncanny valley)」という現象について書きたいと思います。

 

不気味の谷」とは、ロボットが人間に極めて近づいてくると、ある一定の段階で不気味に感じられるようになる現象のことを言います。

不気味の谷」という発想は、1970年に森政弘先生が書いたエッセイに端を発しています。森政弘先生のこのエッセイ(所収:『ENERGY』第7巻第4号、1970年)は、下(↓)のGetRoboというサイトで全文が読めます。

www.getrobo.com

wired.jp

WIREDの記事に載っているような研究による「不気味の谷」現象の証明以来、「不気味の谷」はロボットの顔や身体に対する人間の反応として理解されているように思われますが、しかし、森政弘先生のエッセイを読むと、「不気味の谷」は当初、ロボットに対する反応だけでなく、「動く死人」や「能面やせ男」などに対する反応としても考えられていたことが分かります。このことは、ロボットではない我々人間が非人間的な振る舞いをすることによっても、「不気味の谷」を作り出すことができることを意味します。

 

ところで、「不気味の谷」は、今でこそロボット研究者にとっては避けるべきものと考えられています。

しかし、不気味の谷」という人間の反応をあえて利用することを考えても良いのではないか、と私は思います。「不気味の谷」は、それを超えて親近感を持たせることがロボット開発の基準になるとともに、「不気味の谷」をうまくコントロールして利用できるようになったら、より面白いことができそうではないでしょうか。

例えば、今は夏です。テレビでも映画でも、夏は怪談話とかホラー映画をやっていますよね。ならば、「不気味の谷」を応用して、不気味に感じられるホラー映画を意識的に作ってみたり、あるいはディズニーランドのようなアトラクションで、いかにも不気味に感じられるものを用意しても良いんじゃないでしょうか。CGクリエイターが、不気味なものをプロモーションビデオに応用しても良いと思います。(あ、もちろん炎上しない程度にね!それも狙ってやるなら別だけど!)

 

ちなみに、不気味なものに対する反応は人それぞれだと思いますが、すでに「不気味の谷」をあえて利用することを試みた人がいました。ドワンゴの川上さんです。「不気味の谷」現象の興味深いサンプルとして、宮崎駿監督の反応が参考になると思います。