まだ先行研究で消耗してるの?

真面目に読むな。論理的に読むな。現実的なものは理性的であるだけでなく、実践的でもある。

プルーフ・オブ・ワーク(その1)労働価値説

自分はしばらくビットコインについて書く気が起きなかったのですが、最近ビットコインの記事が一般雑誌でも目立つようになって来たので、自分のビットコイン理解を整理するために、ビットコインを思想的な側面から書きたいと思います。

 

その前に、一年ぐらい前にビットコインについて勉強した時に、ビットコインの仕組みがすんなり腑に落ちたんですよ。なんで腑に落ちたかというと、おそらく自分が経済学部で貨幣について勉強したことが背景知識としてあったからですね。

経済学と一口に言いましても色々あって、最近では行動経済学が個人的には面白いのですが、一般教養的ないわゆるミクロ経済学マクロ経済学、さらに厚生経済学労働経済学、国際経済学など大学でも多くの科目が設置されております。

またこういった経済学とは少し違う思想系の経済学となると、アダム・スミスやセー、リカードらの古典派経済学とか、マルクス資本論をベースとした社会経済学、ハイエクフリードマン新自由主義の経済学があったりします。

で、古典派経済学には「労働価値説(Labour Theory of Work, LTV*1)」という考え方があります。労働価値説では、価値の源泉は労働に由来すると考えます。

ここでビットコインに話を戻すと、ビットコインではマイニング(採掘)するために「プルーフ・オブ・ワーク」(Proof of Work=PoW)すなわち「仕事の証明」が必要となります。コンピュータにブロックごとに膨大な計算をさせること(これが「労働」に該当する)によって、採掘者はコインを獲得できます。この時、一番早く計算が終わった者がコインを手にします。要するに、計算という「仕事(work)」がビットコインを得るための「証明(proof)」となっているわけです。

そして面白いことに、このプルーフ・オブ・ワークという仕組みは労働価値説と非常に似ているのですが、この似ている点を説明するためには、労働価値説と金について書かないといけないのです。一旦、今日はここまでにしておきます。

 

↓去年の記事

sakiya1989.hatenablog.com

*1:「顧客生涯価値」(Life Time Value, LTV)のことではない。

ビットコインチャートを眺める

ビットコインチャートが閲覧できるサイトを見つけました。

blockchain.info

 

前から常々思っているのですが、ビットコインのチャートって数式に表せそうな気がするんですよね。

まずは下の図1「ビットコイン時価総額(2年間)」をご覧ください。

f:id:sakiya1989:20171129133141j:plain図1 ビットコイン時価総額(2年間)

もちろん細かい変動はあるんですけども、ざっくりと曲線を描いてるのがお分かりかと思います。データがCSVJSONファイルでDLできるので、読み込んだら関数が出てくるようにできるかもしれません。(やり方はこれから調べます。)

 

次の図2「トランザクションの合計数(2年間)」はほぼ直線的に増加しているグラフであることがわかります。

f:id:sakiya1989:20171129133641j:plain図2 トランザクションの合計数(2年間)

 しかし、期間を伸ばして見ると、なんとこれは直線ではなく、綺麗な曲線になっていることが判明します。それが下の図3「トランザクションの合計数(全期間)」です。

f:id:sakiya1989:20171129134412j:plain図3 トランザクションの合計数(全期間)

ここまで綺麗だと、何かの関数で表現できる気がしてなりません。

 

最後にビットコインの総流通量を見てみましょう。

f:id:sakiya1989:20171129135533j:plain図4 ビットコインの総流通量(1年間)

このグラフだけ見ると、ビットコインの総流通量はほぼ直線的に増えていくように見えます。

しかし、です。もっと期間を延ばして、次の図5「ビットコインの総流通量(全期間)」を見てください。

f:id:sakiya1989:20171129134835j:plain図5 ビットコインの総流通量(全期間)

ビットコインの総流通量を短期的にミクロに眺めると、ほとんど直線的に増えているのですが、長期的にマクロに眺めると、ある時期を境に傾きが緩やかになっていることが見て取れます。なので、今後はもっと傾きが緩やかになっていくのかもしれません。

統計学(その4)ピアソンの積率相関係数

ここしばらく統計学とそれに応用できそうな分野をひたすらつまみ食いするスタイルが続いております。

大手企業ではRやSPSSによる統計解析・データマイニングはすでに行われていますので、私が今更統計学を勉強したところでスキルセットの差異化は望めないでしょう。

なので、自分は現場の数値分析に統計学を持ち込みつつ、さらに統計解析に応用できそうな分野を勉強しているのです。具体的には、マセマの『解析力学』や『熱力学』の本で物理・化学を勉強しています。

冷静に考えると、ふつうは統計学解析力学や熱力学に応用されるものであって、解析力学や熱力学を統計解析に応用するというのは話が逆なように思われるかもしれません。僕がやろうとしているのは単に物理・化学の研究ではなくて、熱力学に出てくる分子の振る舞いを表現する数式や分析の仕方を学ぶことで、それをリアルな販売の現場で人々の購買行動や意思決定の分析に応用することです。上手くいくのにしばらく時間がかかるかもしれません。

あと最近は仕事で自分で数値を拾ってデータ分析をしています。特に誰に言われたわけでもなく、自主的にやっております。 

Googleスプレッドシートに数値を入力し、試しに「ピアソンの積率相関係数r」を出しています。コードは「=CORREL(A2 : A100, B2 : B100 )」です。「ピアソンの積率相関係数rの二乗」を算出する場合には「=RSQ(A2 : A100, B2 : B100)」を用います。

「ピアソンの積率相関係数r」とは、2つの要素間の相関関係の強さを示す数値(0〜1)のことです。2つの変数の相関が強ければ数値は1に近づき、両者の相関が弱ければ0に近づきます。

ただ相関係数を算出したはいいけれども、そのデータの活用法はまだ見いだせていません。

 

統計学(その3)フィッシャーの三原則

今回はフィッシャー(Sir Ronald Aylmer Fisher, 1890-1962)の三原則のメモです。

 

フィッシャーは著書『実験計画法』(The Design of Experiments, 1935)において、以下の三原則を提示しました。

反復(replication):誤差分散を評価するために、同じ条件下で測定を繰り返す.

無作為化(randomization):系統誤差(systematic error)を偶然誤差(random error)に転化するために, 処理(条件)の割り付けを無作為化する

局所管理(local control):系統誤差を除去するために, ブロックを構成して, 各ブロック内では条件が均一になるよう管理する.

寺尾 敦「社会統計 第9回:実験計画法」design.pptx, p3

bellcurve.jp

 フィッシャーの三原則を全て満たす実験を「乱塊法(randomized block design)」と呼びます。

 

ちなみに、日本語で読めるフィッシャーの著作としては以下のものがあります。

R. A. フィッシャー『統計的方法と科学的推論』(渋谷 政昭・竹内 啓 訳、岩波書店)。原著 "Statistical methods and statistical inference", 1956.

R. A. フィッシャー『実験計画法』(遠藤 健児・鍋谷 清治 訳、森北出版)。原著 "The Design of Experiments", 1935.

R. A. フィッシャー『研究者のための統計的方法』(遠藤 健児・鍋谷 清治 訳、森北出版)。原著 "Statistical Methods for Research Workers", 1925.

 

『統計的方法と科学的推論』の訳者解説は、林 岳彦さんのブログで読むことができます。

takehiko-i-hayashi.hatenablog.com

 

日本では、北川 敏男さんがフィッシャーについて記述しています。

北川 敏男『統計科学の30年 わが師わが友ー』(共立出版、1969年)。

 

フィッシャーの原著一覧についてはWikipediaRonald Fisher bibliographyが参考になります。

怒りの感情をエネルギーとしてポジティブに活用する

こんばんは。

今回は「怒り」について書きたいと思います。

 

突然ですが「怒り」とは何でしょうか。

僕は毎日、怒りの感情を感じることがあります。怒りたくなることがあるからです。

僕はこれまで「怒りとは負の感情であり、悪い感情である」と考え、怒りをネガティブに捉えていました。

しかし、先ほどふと、「怒りという感情に良いも悪いも無いのではないか。もし悪いことがあるとすれば、それは怒りの感情の処し方に問題があるのではないか」という考えが頭に浮かびました。

怒りとは人間の感情の1つであり、怒りは人間に莫大なエネルギーをもたらします。エネルギー運用の観点から見ると、怒りのもたらすエネルギーを上手く活用することが重要なのではないでしょうか。

もし僕が怒りをこれまでネガティブに捉えていたとすれば、それは自分が子供の時に大人から「怒ってはいけない」などと叱られたり、怒っている人を見て悪く思ったからかもしれません。しかし、「怒ってはいけない」と注意されたとすれば、その注意されている事柄とはおそらく「怒りの感情を自分の外に表現する振る舞い(それによって例えば他人を攻撃するなど)」に対してなされたものであって、怒りという感情を持つことそれ自体を禁止することは難しいはずです。怒りとは精神のうちに沸き起こる感情であり、人はそれを鎮めることしかできません。

もちろん怒りという感情の処し方が往々にして難しいがゆえに、負の感情、ネガティブな感情として捉えられてしまうのですが、人間の諸々の感情(喜怒哀楽)には絶対的にネガティブなだけの感情も絶対的にポジティブなだけの感情もなく、むしろ諸々の感情はネガテイブとポジティブの両面を合わせ持っているのかもしれません。

先ほどのように、怒りという感情を人間の活力、エネルギーと考えると、怒りという感情をポジティブに捉えることができます。

重要なことは、怒りという感情と、その表現形態とを区別することです。怒りという感情を抱いているからといって、その怒りをそのまま外に表現する必要は全然ないのです。むしろ溜め込みつつも加工して、別の形で昇華することが、怒りという感情のポジティブなエネルギー運用なのだと思います。

 

と、ここまで書いたところで、そういえばこの前紹介した神田昌典さんの『非常識な成功法則』に似たようなことが書いてありました。

「嫉妬心、敵対心、ミエ、虚栄心等の「悪」の感情。一般的には、このようなマイナスの感情は、持ってはいけないといわれている。ポジティブ思考信奉者には、もっとも嫌われるものである。/ところが、実際問題として、この「悪」の感情というのは、非常にエネルギーが高い。「悪」は、「善」とはプラスとマイナスの極性が違うだけで、エネルギーという観点からみると、ものすごく強いエネルギーを持っている。……」(神田昌典『新装版 非常識な成功法則』フォレスト出版、2011年、p.36)

「「悪」の感情は、そこにあるのだから、否定しても仕方がない。成功したいなら、認めてあげよう。/そして、そのエネルギーを、ちゃっかり利用する。」(前掲書、38頁)

神田さん、さすがです。

sakiya1989.hatenablog.com

統計学(その2)ポアソン分布、少数の法則と大数の法則

通勤時にマセマの統計学の本を眺めていると、統計学が少しずつ理解できるようになってきた。

sakiya1989.hatenablog.com

今日はポアソン分布や正規分布について、多少理解したつもりである。

 

グーグル先生に聞いてみると、ポアソン分布はPoisson distributionと書くようである。

oiはフランス語で「ワ」と発音するので、多分"プワソン"の方が発音に近いのではないかと思うが、こういう表記は慣例にならうしかない。ウィキペディアによれば、シメオン・ドニ・ポアソンSiméon Denis Poisson, 1781-1840)という、やはりフランスの数学者の名にちなんだものであった。しかも、ポアソンの指導教官はピエール=シモン・ラプラスPierre-Simon Laplace1749-1827)だったという。あのラプラス変換ラプラスである。

atarimae.biz

ポアソン分布は滅多に起こらない事象の確率分布であることから、ポアソンの少数の法則*1と言われることもあるらしい。

統計学ではまた「大数の法則」(「ダイスウの法則」ではなく「タイスウの法則」と読むらしい)というものがあって、要するに、試行回数を無限に(n→∞)増やしていくと、その平均値が極めて真実に近づくというものである。

mathtrain.jp

ただネットで調べて知ったのだけれど、「大数の法則」には2つのものがあり、「大数の弱法則」と「大数の強法則」とがあるらしい。

とりあえず今日はここまで。

*1:『ファスト&スロー』で有名なダニエル・カーネマンの「少数の法則」もあって、それはまた別の意味らしい。カーネマンの「少数の法則」は、試行回数が少ないがゆえに偏った結果が出て、その極端な結果に基づいて人間が誤った因果関係を推測しがちなことを説明したもののようである。認知バイアスの話かと思われる。

【読書メモ】神田昌典『新装版 非常識な成功法則』(フォレスト出版)

 

神田昌典『新装版 非常識な成功法則』(フォレスト出版) は、結構度肝を抜かれる内容です。確かに著者が「この本は私が一番書きたくなかった本」というのは頷けます。でも、だからこそ使えるノウハウが詰まっています。読んだのはもう数ヶ月前ですが、めちゃくちゃ役立っています。 

例えば、紙に「やりたくないこと」を書き出してから「やりたいこと」を書き出す方法が挙げられています。これは紙に書くことで、脳の仕組みを利用して水面下で夢を実現させる合理的な方法な訳です。もっと言えば、パソコンのメモリやストレージは年々倍増していきますが、そもそも私たちの生まれつき持っている脳みそは、ある意味でパソコンの処理能力に匹敵するような処理を潜在意識で行なっているので、それをうまく利用するという目から鱗の説明があります(72〜73頁)。

たこの本では、テープを聴くという情報収集法が紹介されています(130〜136頁)。これは、通勤時間に耳から情報を入れるだけで、潜在意識に知識を刷り込めるスゴ技として紹介されています。昔はカセットテープやCD、MD、ストレージで容量に制限がありましたが、今ならiPhoneスマホにイヤホンを挿して、通勤途中にYou Tubeでも起動すれば、無制限にアクセスできるのだから、この本の中でこれほど今すぐに応用しやすいネタはないかもしれません。